第6話 シリルの実力

「ということで、どうですか?シリルさん、クレアさん。」


 この中で一番しっかりしているアルマが同意したので、ほぼ決定であったが、二人の意思も一応確認するハドリー。


「俺はそれでいいよ!」

「………不安はありますが。分かりました。」

「はい。」


 それでは、と言い机に一度戻り、紙を持ってきたハドリー。

 そして再び向かいに座る。


「さてと、字は書けますか?」

「書けるよ。」

「それでは、こちらのペンでご記入ください。出身地と登録地はここで、種族はグリューで、お願いします。」

「わかった。」

「偽造か…。」

「そうですね。アルヴァイスなんて書けないですからね。」


 グリューとは、シリルが仮面を付けている時の、金髪・緑目が特徴の人間だ。

 エンディー王国では、一番多いと言われている。


「これでシリルは、余計秘密を本当にバラせなくなったな。」

「はい。私が偽造に、加担していますからね。身分証無しで冒険者登録、さらに偽造とバレたら大変です。」

「それよりシリルが、面倒臭いことになるからな。」

「そうですね…。」

「ハドリー…ありがとうございます。すみませんでした。」


 クレアは、深々と謝罪する。

 今更になって、軽率な行動だった後悔した。

 もっと考えれば、他の道もあったのではと。

 それは、メンバーを亡くした事にも繋がっている。


「別にいい……とは言いませんが。まあクレアがお人好しなのは、知っていましたからね。次から、自分の力の範囲で、お願いしますね。」

「すみません……。」

「まあ、命を助けて頂いてますからね。今回限りは、いいでしょう。」


 そう話していると、シリルが出来た!と紙をハドリーに渡す。


「……はい。問題ないですね。あとは、出来れば実力を測りたいのですが……。私がやってもいいのですが、せっかくなら赤き猛獣を倒したという実力を、外から見てみたいですねえ。」


 そう言い、しばらく考え込むハドリー。


「そういえば、今日は【グラント】も帰って来ていましたか……。」

「グラント殿、帰って来ているんですか?」

「ええ。少し前に帰られてます。グラントならちょうどいいでしょう。」

「グラント?って誰?」

「私が信頼を置いている冒険者です。かなり強いですよ。」

「へえ。その人と戦えばいいの?」

「そうです。それに彼は、クレアの時から始まったのですが、冒険者になりたい子供達を鍛えて貰ったりしているのでね、子供相手に無茶もしないので、ちょうどいいでしょう。」


 アルマに再び影の中に入ってもらうようお願いし、二人に付いて来るよう言うハドリー。

 先程の昇って来た階段とは、反対に進む。

 階段を背に、真正面にある扉へと向かう。

 そこを出ると、外になっており、そこから階段を降りる。

 周りを壁に囲まれた、広場のようなモノになっていた。

 そしてここで少々お待ちください。と言い、階段を降りた所にある扉から、建物の中へと入るハドリー。


「クレア、そのグラントってどんな人?」

「ああ。グラント殿は、まさに戦士という言葉が似合うな。」

「戦士?」

「ああ。とにかく力が強くてな。彼の使っている武器も、ただの六角形の鉄の棒っていうシンプルな物だ。まあそれすら普通は、大きくて扱えないんだが……。」


 そんな会話をしているとハドリーと一緒に、大きくしっかりした体躯の、赤い髪の男が現れた。

 彼が噂のグラントだろう。

 身長よりも長く、腕よりも太い、シンプルな六角形の鉄の棒を持っていた。


「クレア嬢ちゃん!元気か?」

「グラント殿……だから嬢ちゃんは…。元気です。」

「ならよし!」


 そう言いクレアの肩を叩く、グラントと呼ばれる男。


「俺は【グラント】だ。ランクCの冒険者をやってる。よろしくな!」

「俺シリル!よろしく!」


 握手をすると、しばらくじっとシリルを眺める。


「その仮面は取らないのか?」

「あ、顔見せたほうがいい?」

「そういう訳じゃなく……見えてるのか?」

「見えてるよ。」

「ん……聞いてると思うが、これから実力テストをする。全力でやれと言われてるから、加減はせん。」

「うん。」

「なら構わんのだが……ただし!!壊れても弁償って言うなよ!」

「分かった。」


 そう言い笑うグラント。

 ハドリーが彼を信用する理由が、今のやり取りでもわかる。

 先程のハドリーが連れてくるまでの時間的に、事情もそこまで説明されていないだろうに、それなのに深くは追及せず、あっさりとしたものだった。心配したのも仮面くらい…。

 しかも子供といって、舐めている雰囲気もない。

 油断ならない相手であるのは、確かだった。


「それでは挨拶は、済みましたかね?」

「ああ」

「うん」

「ではあちらへ、お願いします。」


 そうして、広場の真ん中辺りに向かう二人。

 するとクレアが小声で、ハドリーに話しかける。


「……グラント殿は、その……大丈夫ですか?」

「なんの事でしょうか?」

「無いとは思うのですが、万が一にもグラント殿が殺されないかと……。」

「ああ、そちらですか。そんなにお強いので?」

「いや……強さは分からないのですが、考えてきなモノが……。」

「ああ、その心配ですね…。一応試合前に言いますが、警戒はもちろんしておきますよ。それに、彼なら大丈夫でしょう。」

「……まあ、確かにそうですね。グラント殿ですものね。」


 ハドリーの言葉に、安心するクレア。

 そうしてると広場の真ん中あたりに、立つ二人。

 グラントがお辞儀をすると、シリルは不思議そうな顔をしたが、一応真似した。


「それでは、全力でお願いしますね!ただし!殺しはなしでお願いします!」

「え?ダメなの?」

「……実力を測る為だけですからね……当然です。」

「なるほど……。んー分かった。」


 シリルは実力テストと言われ、狩りのようなモノだと思っていた。

 だから、しっかり狩ろうと思っていたが、ダメだと言われたので、殺さないようにしないと、と考えている。


「おい、俺の事殺すつもりだったのか……勘弁してくれよ………。」

「シリル殿は、本当に………。」


 グラントは苦笑し、クレアは呆れていた。


「それでは、はじめ!!!」


 その声と共に、グラントの足元に魔法陣が出る。

 そして彼の体が光る。

 シリルは先手必勝と言わんばかりに、一気に突っ込んでいた。

 しかしグラントは、体を光らせながら、鉄の棒を一瞬で振り下ろす。

 それをシリルは、体を捻り回避する。

 そのまま1回転をして、その勢いを利用して、左手で鉄の棒を地面へと抑え込む。

 鉄の棒を支えにして、グラントの顔に蹴りを入れる。

 グラントはすぐさま反応し、足を掴む。

 しかし掴んだ瞬間、その足は一気に燃え上がった。

 顔の傍で掴んだ足が突然燃え上がり、グアッ!と呻き声を上げ、腕を離し、一瞬目を瞑ってしまう。

 そのまま足を入れ替え、鉄の棒を支えに反対の足で顔を蹴飛ばし、グラントを吹き飛ばす。

 武器は手放さなかったものの、体で着地したグラントは、口の中を切ったようで、プッと血を吐き捨てる。

 だが次の瞬間、目の前には炎の弾が迫って来ていた。

 慌てて棒でそれを振り払うと、すぐ後ろからは距離を詰め、雷を纏った拳で殴り掛かって来るシリルがいた。

 寸での所で気付き、棒でガードをする。

 反対の手に同じように雷を纏わせ、再び殴りに行く。

 雷が伝わり痺れるが、それに構わず鉄の棒を回し、振り払おうとする。

 それを読んでいたシリルは、手で鉄の棒を掴み、グラントを更に痺れさせ、地面を蹴り、棒を視点に縦回転し、かかと落としを食らわせるシリル。

 それをなんとか避けるようとするが、肩にで受ける。

 肩からゴキッという嫌な音はしたが、なんとか耐え、シリルの足をすぐさま掴み、壁へと叩きつける。

 シリルは受け身を取ろうとするが、勢いが強かったためそのまま叩きつけられる。

 しかしグラントは足を離さず、今度は地面へと叩きつけようとする。

 シリルは手から炎の弾を放ち、グラントに食らわせる。

 一気に燃え上がり、その拍子に手が離され、吹き飛ぶ。

 吹き飛んだシリルは、もう片方の手で、今度は雷を放つ。

 それも腕で防ごうとするが意味はなく、喰らってしまい焦げあがるが、なんとか倒れなかったグラント。

 シリルは着地と同時に地面を蹴り、それと同時に炎を放ち、攻撃を喰らわせつつ、相手の視界を遮る。

 よろめきつつも鉄の棒を振り、炎を振り払うが、視界が開けた時には、目の前にはシリルはいなかった。

 姿勢を低くし回り込み、足に魔力を纏わせ、腹に蹴りを入れる。

 グラントの腹から、骨の折れるような音がし、それと共に血反吐を吐き、耐えられず吹き飛ぶ。

 そして壁へ叩きつけられ、壁が崩れる。

 シリルはすぐさま飛び込みながら、左手で特大の炎をぶちかます。

 グラントの叫び声が上がる。

 炎を出しながら反対の手に一気に魔力を溜め、貫手に思い切り雷を纏わせる。

 そして、グラントを刺しに行く。

 その瞬間……


「そこまでです!」


 と声がかかり、止まるシリル。

 シリルの魔力を帯びた手は、グラントの足に刺さっていた。

 そしてハドリーが、シリルの腕を掴んでいた。

 もう少し遅ければ、グラントの足は、完全に切り落とされていただろう。


「……ここまでとは。」


 最後の攻撃は、グラントの心臓を刺しに行ったかと思い、急いで止めたハドリー。

 それは足に刺さっていたが、止めなければ完全に切り落としていた。

 さらに終始笑っていたシリルに、ゾッとしていた。

 クレアもまた、驚愕していた。

 アルマはよく知っていた事だが。


 シリルは言われた通り、殺すつもりはなかった。

 だが殺さなければいいと考え、再起不能になるレベルにまで、攻撃を喰らわせようと考えていたのだ。

 ただそれは、グラントが強かったのだ。


 例えば、相手がクレアのように実力差があるものだったら、動きを止めることなど、造作もなかったろう。

 しかしグラントの初撃を目にしたシリルは、彼の強さを判断し、殺さず動きを止めるには、再起不能になるまで痛み付けなければ無理だろう、と考えたのだ。

 これは試合なのだ。

 普通の者であれば、そこまでは考えない。

 だがシリルは、こういった試合というのは、1度もしたことがない。

 殺さないという事は、動かないようにするという発想しかなかった。


 アルマから見れば、殺しにかかっていなかったのは一目瞭然だった。

 シリルが殺しにかかれば、全攻撃に魔力を纏わせるだろう。

 アルマとの対決の時のように。

 アルマとの対決は、圧倒的にアルマの方が強いと判断し、シリルは殺しにかかっても死なない、むしろ殺しにかからないと勝つ事は出来ないと思っていた。

 なので、本気で殺しにかかっていたのだ。

 何より、自分の師であるアルマに、全力を見せたいと考えていたのもある。

 なのでアルマもそれを分かり、お互い容赦なく攻撃していた。

 もちろん両者本当に止めを刺す気はなかったが、それほどまでに拮抗していた。


 逆にグラントはシリルと違い、全力とはいえもちろん試合だと考えていた。

 さらにシリルは、強いと言ってもまだ子供。

 舐めていたというのは、もちろんないのだが、実力テストで、さすがに再起不能になるまで、本気でボコボコにしようという発想は、自然と除外されていた。

 それが力の差になり、このような結末となった。


 この闘いを、一番よく分かっていたのはアルマだろう。

 シリルは、まだ完全に力を出し切っていない。

 そしてまた、グラントも力を出し切ってはいない。

 グラントの力を出し切っていない割合の方が、若干多いと思われる。

 ただし、お互い殺す気になったとして、シリルが負けるとは思っていなかったが。

 シリルが本気で殺しにかかる時は、本能的なものが異常なのだと一人考えていた。

 そして、やはり人間は甘いな、と。



 ハドリーが、グラントの怪我を魔法で治す。

 ハドリーは少し鋭い目つきで、シリルを睨む。


「シリルさん。殺しはなしでと言いましたよね?」


 グラントは実力を測る為の闘いなのに、火傷や、骨の折れ方、何より足が切断寸前だった。

 その事に、多少の怒りを露わにするハドリー。


「うん。殺してないよ?」

「最後の攻撃を止めなければ、グラントの足は無くなっていたのですよ?」

「うん。」

「これは実力テストです!試合なんですよ!?なのにあな――」

「やめろ!」


 そう言ったのは、回復魔法を受けていたグラントだった。

 どうやら、なんとか意識を取り戻したようだった。


「実力を測るために……本気を出せと言ったのはお前だろう……。それに俺も……舐めてはいなかったが……やはり実力テストっつうことで、気の持ち方がこいつと違った……。」

「……。」

「こいつは……殺さずに相手の動きを……止める為、実力を出す……という事をしっかりやってたんだ……事実殺そうと思ったら……最後の攻撃で……死んでいただろうな……はは……戦っていた俺が言うんだ、間違いない……。」

「……そうですか。」

「だからこいつは、何一つ間違っちゃいない……確かに俺の体は、ボロボロだがな……。」

「………そうですね。…すみませんシリルさん。私も、少し取り乱していました。私の説明が、足りなかったですね。申し訳ありませんでした。」

「んー。」


 そうだったと改めて思ったハドリー。

 彼は、人間を簡単に狩ると言う子供だった。

 殺すなという事は、彼にとっては死んでなければいいという程度だったのだろう、と改めて考えなおした。

 普通の人間の感覚で言えば、実力を測る試合でそこまでしないという先入観が、抜けていなかったのだと。

 今回シリルは珍しく、不満そうにしていた。

 試合を途中で止められた上に、ハドリーに睨まれたのだ。

 殺すなと言われたので、相手が死なないようにしていたのになんでと思っていた。

 しかし、アルマに影から諫められる。

 なのでとりあえずは、気にしないようにした。



「正直ここまで、お強いとは思わなかったですよ。」

「私もシリル殿の強さがここまでとは、思わなかった……。」


 グラントを回復した後、3人はギルドマスターの部屋へと戻っていた。

 グラントはある程度回復したとはいえ、それでも疲労困憊だったため、医務室へと行き、休んでいた。


「さて、先程は本当にすみませんでした。今思っても、大分取り乱していました。」

「別にいいよー。」


 もはや本当に気にしていないようで、安心するハドリーと影の中のアルマ。


「ありがとうございます。ところで、シリルさんに一つお伺いしたいのですが、よろしいですか?」

「うん。なに?」

「あなたはもしかして、魔力変換が出来ますか?」

「うん。出来るよ。」

「……やはり……。まさか本当に、魔力変換できる人がいるとは……。」

「魔力変換とは何ですか?」

「…………。」


 ハドリーは驚き、考え込んでいたため、クレアの声が聞こえていなかったようだ。

 そして一度、シリルの足元に目をやり、なるほどと思う。


「アルマさん……ですね。」

「どういう事ですか?アルマ殿が手を貸したという事ですか?」

「あ、いえいえ違いますよ。アルマさんが、シリルさんの師匠だったなと思い出したのです。」

「やっぱり、私には分からないのですが……。」


 ハドリーは、一人納得したようだった。

 クレアは完全に、置いてけぼりだった。


「魔獣は、魔力量が多いんです。そして魔獣は、魔法陣……というか魔法ですね。それを使わずに、炎を出したりしています。それは体内で魔力を変換している、と言われているんです。」

「…そうなんですか。知らなかったです。」

「クレアさん……もう少しお勉強しましょう。」

「……はい。すみません。」


 クレアは訓練はしっかり行っていたが、どうやら勉強不足だったようだ。

 それに呆れるハドリー。


「ですがこの方法では、魔力の少ない人間には無理ですね。威力を出そうと思えば、本当に数発で終わってしまうでしょう。それは何故だか、分かりますね?」

「…………あっ!魔法陣は大気中の魔素を取り込むモノ。それにより自分の魔力の消費を抑えつつ、威力を出せるのが、魔法陣を出さず、魔力を変換するという事は、魔素を取り込まず、自分の魔力だけになるという事ですか!」

「その通りです。しかも、魔獣のように生まれつき魔力の扱いに長けているモノ達と違い、私達が行うとすれば、相当な訓練が必要でしょう。」

「……なるほど。」

「魔力の消費量の割に、威力も大して出ない、そして高度な技術が必要。普通はそんなもの選びませんよ。非効率過ぎます。」

「ですが、シリル殿はそれをしている。」

「逆にシリルさんのように魔力が多く、また魔力操作に長けているならば、魔法陣を出さないこちらの方が、戦う際に向いているという事になります。……なんせ、無詠唱魔法より速いですからね。」

「無詠唱魔法より!?」


 驚くクレア。

 無詠唱魔法とは、グラントが対戦開始と共に行ったような、詠唱をしない魔法だ。

 彼は無詠唱魔法で、身体強化を行っていたが、シリルは魔力を体に巡らせて、同じような効果を得ている。

 それにより、すぐに動き出せたシリルと、少しの時間とはいえ、動けなかったグラントの差が出ていた。

 さらに攻めるペースが速すぎて、グラントは他の魔法を出せなかった。

 これが無詠唱魔法と、魔力変換の圧倒的な差だ。

 勿論、人間の中ではシリルが異常なのだが、師匠がアルマだったため、魔力変換をそこまでのスピードで出来て、ようやく一人前と教えられていた。


「魔法陣を出す時間も、必要ないですからね。見ていて気付きませんでした?」

「凄すぎて、正直付いて行けていなかったです……。」

「しっかり見ないと強くなれませんよ?」

「はい……。」


 改めて力の差がはっきりし、落ち込むクレア。


「ちなみに、私も過去に試した事があるのですが、一回も出来ませんでした。」

「ハドリーでも無理でしたか……。」

「ええ。訓練に要する時間に威力、魔力の消費量を考えれば必要ないと思い、早々に辞めたのもありますが。」

「……そうなんですか。」

「ちなみに、シリルさん。アルヴァイス族の方達は、皆さん出来るものなのですか?」

「ううん。うっすらとしか覚えてないけど、皆魔法陣出してた気がする。俺もアルマには、いっつも下手くそって言われてたよ。でも、森じゃ弱いまんまなら狩られるし、必死に覚えたんだ。」

「……そうですか。」


 薄らとあった、アルヴァイス族だから魔力操作にも長け、覚えて当然なのでは、という可能性は無くなったと考えたハドリー。

 そして、子供ながらにこれが扱えるという事は、本当に並々ならぬ訓練をしていたのだろうとも。


「ちなみにシリルさんは、無詠唱魔法は出来ますか?」

「うん。一応いくつか。」

「無詠唱魔法も出来るのか!?……なんてことだ……。」

「クレアは出来ないの?」

「…………出来ない。」

「まあ無詠唱魔法は、本来高度な技術です。なかなか出来る物ではありませんからね。」

「そうなんだ。」

「……圧倒的過ぎる……。」


 ハドリーが、シリルは無詠唱魔法も出来るのではと思ったのは、無詠唱魔法は多少なりとも魔力操作を行うからだ。

 だが、まさか本当に出来るとは……と思う。

 彼の師匠は、アルマだ。ということは、アルマが魔法を扱えるという事になる。

 本当にあの時、戦わなくて良かったなと改めて安堵した。

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