第5話 つばめに会う

「 つばめに会う 」


白いかたちの雲が

浮かんでいる


はじめ

黒い点が

重なりあい離れ

落ちたように見えた

右手にも左手にも

澄んだ水色と

白の境目に

放物線が描かれていく


まだ

さくらの蕾も

やっと膨らんできたばかり

散歩の爺さん婆さんたちが

蕾にレンズを向けている

指で枝を折り曲げ

覗き込んでいる


つばめが

Mの字を

風上に向けて

流れていたのだ

さくらが咲くと春なのか

つばめに会ったから春なのか

わからなくなった



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