第11話 最後に。

実際私自身はと言えば、たとえ少数派であろうが多少ひねくれていようが人と違った価値観を持っていたいと思ってしまう人間である。大衆に居るということに、安心感よりもアイデンティティの危機が勝る私のような人間も、少なからず存在するはずだ。

事実、私は周りからよく変わり者だと言われる。その人の言う「普通」や「変わり者」は、果たして何を基準とした「普通」なのか。はっきりとは分からないが、きっと相手は一々「普通」に対してあれこれ考察したりなどしていないというのが良くも悪くも現実であろう。忌憚なく言わせてもらうと、つらつらと文を編んでゆくうちに、こんな答えのなさそうな題材に関して長々と論じている時点で確かになかなかの変わり者かもしれないとは自分でも思えるようになった。


以上を踏まえた上で、私はこれからも引き続き相手の言う、自分の言う「普通」という概念を用いるにあたり、固定観念に縛られていないかを常に考える人間でありたいと思う。

利益や勝敗を求める上という目で見れば、この上なしの非合理な価値観である。間違いない。それでも私は、幅広い価値観に畏敬の念を忘れることなく、大衆に届くことのない少数派の考えにも目を向けられる一面を持った「変わり者」でありたい。

それがいつか、大勢の心を揺るがすこととなる価値観ではないかという一抹の希望を、私は信じる。

真相など誰にも分からないのだから。





【参考文献】

現代思想の冒険者たち フーコー ~知と権力~ 桜井哲夫 講談社

自己愛とエゴイズム ハビエル・ガラルダ 講談社現代新書 他

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変わり者 ハラシマツユメ @bouvardia0927

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