第2話:俺が…佐吉?

(タイムスリップ)したな、俺。

しかも“佐吉”って言う人と似ているって…

俺は思わず頭を抱えた。

「佐吉‼︎大丈夫か⁈」

「あ…う、うん。大丈夫だよ、澄兄ぃ」

澄兄ぃも別人って訳で、澄兄ぃに似ているけど澄兄ぃじゃないからでの云々カンヌン…

あぁ‼︎ややこしい‼︎


「Σ正澄‼︎佐吉‼︎」

遠くから声がした。

俺は頭を抱えたままそちらの方を見た。

容姿は俺の父さんと良く似ている少し白髪混じりのちょんまげの…オッチャン…は酷いか。強いて言うならおじいさん入りの叔父さん。

「父上‼︎佐吉が木から落ちて、体を打ち付けたようで…‼︎」

その言葉で思い出した。

「(ね、猫‼︎猫は⁉︎猫は無事⁉︎)」

辺りを見回して、すぐ近くにいたふてニャン見たいな子猫がこちらに擦り寄ってきた。

どこも怪我はしていないようだ。

「よかった…無事だったんだな…」

『ニィ‼︎』

そう子猫は1つ鳴いて、ゴロゴロと喉を鳴らした。

「佐吉、大丈夫か?いくら子猫を助けるためといえど体の事は気を使わねばならぬのだぞ…」

そう“佐吉”の父さんに言われたけど、正直に言って全力で走ったのか汗ダクダクの顔を近づけてられて言われたくなんでない。

加齢臭をどうにかしてくれ。

「…佐吉、家に戻ろう。妹達も心配しているはずだ…」

なんなら負ぶってやろうと言われて俺は思わず「いや、いいから」と即答した。

俺は時々痛む背中を丸めて、澄兄ぃそっくりの“佐吉”の兄とその父の後を歩いていった。

すぐ側をふてニャンそっくりの子猫がちょこちょこと歩き、俺は通る道の景色を1つ1つ頭に刻みつけるかのようにしながら歩いていった。

「(澄兄ぃ、心配していないかな…)」

夕日に照らされている琵琶湖を見て、そう思った。

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