Road
男は走っている。
ハァハァ…
男が走っている周りは真っ暗で足元しか明かりがない中、男は走っている。足元の明かりだけを頼りにひたすら走っている。
男は息を整えるために一度止まるとポケットから男と妻、娘がうつった写真を取り出し息を整えると
再び走り出した。
男は走っている。
だが、どれだけ走っても二人の姿は見えない。何度も止まり息を整えるたびに写真を見て再び走り出すが見えない。
トンネルの前で男は立ち止まった先の見えないトンネルに男はその場に崩れ落ちた。
下を向き絶望に浸っていると目の前に妻と娘の二人が現れた
足元だけしか光がなかった男の前に全身を包むほどの大きな光に二人の姿が見え
男の目は希望に変わる。
二人を抱きしめようと走り始め、抱きしめようとすると二人は消えてしまった。希望の中にいた男を絶望が再び襲った。
男の持っていた写真が地面にヒラヒラと落ちた。
「もう……」
「それでいいのか」
後ろから声が聞こえた。
男が声のしたほうを向くと杖をついている老人がいた。
「そのままでいいのか」
そう言われた男は地面に落ちている写真を手に取ると涙をこらえトンネルの前に立つと前を向き再び走り出した。
トンネルの中を走り続けるとその先に光が見えた。
そこには二人の姿もあった。
光の中に消えていく男には影がなかった。
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