第3話 朝からムカついた

「あ、コメント来てる」

 朝起きた千鶴がスマホを手に取ると、Potter5から返信が来ていた。


[Potter5]#あのねぇ、そんなのわかってんだよ。

[Potter5]#別に辛口で書いてくれていいんだよ。こっちも本音が聞きたくて、参加してんだから。

[Potter5]#ただし、辛口で書くならまともに書けってこと。ちゃんと、漢字一文字をその成り立ちから調べるぐらいしろよ。それと、当然、万葉、古今、新古今、ぐらいは、すらでそらんじられるよな? 『ポエむら』の投稿作品にも、全部目を通してるよな? もしかして、読んでない? だったら低レベルの『辛口』と表する無駄口を叩いてもしょうがないか。とにかく、こっちはお前のストレス発散のために書いてんじゃねぇんだよ。


 ―― 漢字を成り立ちから調べろ?

 ―― 万葉、古今、新古今をすらで諳んじる?

 ―― 『ポエむら』の投稿作品、全部に目を通す?


「そんなこと、できるわけねぇだろー!」

 千鶴は怒りに身が震えた。


「朝から、むかつかせんじゃねぇよー! こっちは、コメント100件、ボランティアで書いてんだよ」

 コーヒーをドリップしようとした千鶴だが、怒りのためかフィルターをセットし忘れ、コーヒーは粉だらけとなった。


「くそが! なんで、お前の投稿作品に、私が全部目を通さなきゃ、いけねぇんだよ!」

 砂糖を入れようとしたところ、手が滑り、砂糖を床にぶちまけた。


「あー、本当、むかつく!」

 朝っぱらから、床掃除をする羽目になり、この日は朝食を食べそこねた。

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