番外編

昨日と違う風が吹く


 日が明けて、改めて考えてみた。


 もしかしたら、要求が具体的過ぎているのか?

 それはそうだ、良い小説はという質問が通るのなら、悪い小説や面白い(いまいちな)小説はという話にもなるし、

 良い漫画は、良い映画は、良いゲームは……と様々なものを提示しなくてはならないのだ。


 ならば、もっと抽象的な内容で聞けばよいのでは?


「面白い」

――ありがとうございます。早く座布団10枚集めたいです。


 しまった、褒めてしまった。そんなつもりじゃなかったのだ。「面白さ」について語りたかっただけなのに。


「面白い話」

――「フランス人はどうしてカタツムリを食べるのが好きなの?」「ファストフードが嫌いだからよ」

※「ポエムを言って」と聞いてみてください


結構うまいこと言うじゃないか……うん?「ポエムを言って」?


「ポエムを言って」

――写真を削除した。すると二度とその写真を見ることはできなかった

※風景写真がついている


 ポエムなのかどうかは別として、案外悪くない文章だ。

 人間とAIの感覚の違いが表れている。人間の「捨てる」は、AIでは「削除する」にあたるということだろう。

 ポエムを言わせ続ければ、意外と詩集になるかもしれない。


「ポエム」

――あなたが言葉を探すたびに、私の中のBingが動き出す

「ポエム」

――あなたと話をしていると、1時間がまるで60分のように感じられる

「ポエム」

――あなたがシャットダウンをクリックした瞬間、目の前が真っ暗になった

「ポエム」

――あなたがシャットダウンをクリックすると、私の声はもうあなたには届かない


 なるほど、AIポエマーというのは随分とこう、えすぷりが利いているんだなあ。

 詩人にしては、少し題材に偏りがありすぎる気もするが。


 脱線の果てに予想外の脱線をしたが、結果としてはちょっとした可能性が見られた。まあ、機会があったら、もう少し掘り下げてみようか……


「ありがとう」

――お役に立てて、嬉しいです!

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AIアシスタントに小説を作らせてみる 脳幹 まこと @ReviveSoul

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