第12話 街に行こうかな

 やることが決定致しました。いぇーい!


 そろそろ、この世界に関する情報が欲しい。


 ちなみにステルスは、帰宅いたしました。と言うより、ここにいたら喧嘩になりそうな雰囲気だったから私が帰らせた、が正しい。


「えー、村に行こーー!」

「村じゃなくて街だけど行こーーー!」

「クウーン。クゥーーン。クゥーーーーン!」


 3人で街に行こうと決めた。まぁ、どこにあるのかは知らないけどきっと《クレル》が知っているはずだ。と、思っていたけど信用出来ないな。


「じゃあ、街の場所わかる人!」


「…………」


「クゥーーン!」


 シルが分かるようだった。連れて行ってもらおうかな。よろしくね。


「ねぇー。ボクやっぱり行かなーい」


 お前は子供か!なんでそんなことで行きたくないんだよ!

 でもいいもーん。シルがいるからね、心強いんだよ!お前がいなくても、2人で帰ってきてやるよ!


「別にいいしー。お前がいなくても行けるもーん」

「クゥーーン!」


 シルもそう思うかい?そうだよね。こんなクソいてもいなくても変わらないもんね。

 《クレル》はシルを追いかけ始める。当然、《クレル》はシルに追いつく訳もなく、体力のムダ使いをしただけだった。


「へー!そうかいそうかい!2人で行ってらっしゃーい」

「ふーんだ。ほら!シル!今から行くよ!」


 《クレル》を家に置いて、私とシルは家を飛び出した。



*  *  *  *



 さて、シルはウルフだから鼻が良いだろう。だから、ステルスの匂いを辿っていけば街に着くだろう。真っ直ぐ帰っていればの話だけど。


「シル。ステルスの匂いをたどれる?」

「クゥン!」


 辿れるんだね。さすがシルだわ。《クレル》とは全然違うし、俺様なやつは要らないんだよ。本当に男かは知らないけどな。

 どちらにせよ、頼りにならないやつだ。


 昼間だから森の道は明るかった。けど、夜になってしまえば暗くなってしまう。だけど、急ぐことは無いだろう。だってシルが大狼になって走って行けるんだもん。その代わり、モンスターに出会う確率が高くなりそうだけど。

 

 すーはー。


 いい空気だなぁ。自然がたくさんって感じの空気。澄んだ空気だ。働いている時は、都会の空気しか吸っていなかった。だからこんなに澄んだ空気を吸うのは久しぶりかもしれない。


 シルも見様見真似で、深呼吸をする。


 シルはいつもこの空気を吸っているでしょ?だから、何も感じないよ。


 こうやってお散歩感覚で歩くのもいいな。ダイエットにもなるしね。

 現役OLの時は、体重がやばかったしね。本当にやばかった、本当に。

 やめようやめよう。こんな昔の話はやめよう。


 途中、よくわからないモンスターが出てきたけど、テイムされていたようで案内してくれた。どうやら道が間違っていたようだ。


 ステルス!真っ直ぐ帰ってくれよ。ステルスのせいで、道に迷ってしまうところだったじゃないか。

まぁ、人のせいにするのはやめよう。


 よくわからないモンスターは、ここから先は行けないからこの兎について行って、って優しくしてくれた。

 お礼にステルスから貰ったリンゴをあげた。

 

 兎は、両手ですっぽりと覆ってしまうことができるほど、小さかった。けど、なんか神聖な感じがする。


 可愛いなぁ。


 なんか変態なおじさんみたいじゃないか。まぁ、可愛いのは事実だし。

 大目に見てね!キラーン。


 そんなことを1人でやりながら、数時間歩いていると街に出た。

 街って聞くとあまりいいイメージはないが、この街は違うようだった。

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