#14 夏っぽいことがしたいね
レポート、試験、演習に追われる毎日を過ごしていると、友達と夢ばかり語るようになってしまうのはもはや必然なのかもしれない。
最近の議題は、この夏をどう生きたいか。誰といつ話しても盛り上がらなかった試しがない。それだけみんな、夏に飢えているんだろう。
夏を描いた小説の言いようのない眩しさに、そんなものは幻想だと気づいた今でも目を細めたくなる。
あれはきっと、夏の魔法だ。もしくは呪い。私たちはみんな、そんな得体の知れないものに自分の意思で泳がされている。
だって、あのなかにある眩しさって、ばかみたいに単純で、おろかで、すてきなものだから。私もずっと憧れている。それがフィクションだと頭のなかで理解していても。
河川敷で花火がしたい。線香花火は外せないね。そのあとみんなでスイカバーを食べよう。
浴衣を着てお祭りに行きたい。出店で何たべる? たこやき、いいね。わたあめが似合う女の子になりたいな。
プラネタリウムも行こうよ。どうせなら遠くの大きいところに。満天の星に包まれたいね。寝たらだめだよ。
喫茶店にクリームソーダを飲みに行こう。きれいで、かわいくて、あまくて、おいしいって、最強だもの。
海に行きたいね。泳ぐのもいいけど、砂浜でいっぱいおしゃべりしよう。もちろんかき氷も一緒に。そういえば水着持ってないや。
冷房の効いた部屋で何本も映画を見よう。気になってた映画、いっぱいあるの。世界に染まろうよ。
他にも夢や願いは山ほどある。叶えたい夏について話す休み時間は楽しさと希望であふれている。
夏がはじまってどれだけ実現できるのかは分からないけれど、それでもきっと、適当に夏という季節に浮かされているんだろう。
何だかんだ夏を楽しみにしているし、未来を楽しみにしている。これってすごくしあわせなことだ。そこだけを見れば、という注釈は外せそうにないけど。
だから早く、レポートも、試験も、演習も、終わらないかな。夏休みまであと1ヶ月と少し。長いようで一瞬で過ぎ去ることは、もう知っている。
これらと一緒に、梅雨前線も離れていってくれたらいいのに。
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