#13 どうしようもない夜に


 特に何かが引き金となるわけでもないけれど、どうしようもなく色んなものを投げ飛ばしたくなるときがある。

 投げたかったり、ぶん殴りたかったり、壊したかったり、飛びたかったり、消えたかったり、そんな感じ。


 木曜日か金曜日にそれらが多いのは、たぶん月曜日からの間に色んなグルグルがあふれて、こぼれてしまうからなんだろう。


 こんな夜をどうにかしようとすることは、とうに諦めた。

 ごはんを食べても、本を読んでも、ドラマを観ても、音楽を聴いても、何もしなくても、だめなときはだめだもの。

 みんな言わないだけで、だめなときはあるんでしょう。だから、いいの。


 でも今日は、雑誌をいくつかぱらぱらしているうちに少しばかり落ち着いていたらしい。言葉と写真のいいところじゃない、落ち着ける何かがあるって。

 だって落ち着いていないと、たとえどれだけ短くても、文章は書けない。


 もう少し、もう少し大人になったら、お酒で気を紛らわすようになるのかな。

 それとも今日みたいに、真っ暗な部屋で、虫の声をBGMにして、雑誌をめくったり文章を書いたりしているのかな。


 もしかしたら、そのときにはもうこんな夜を過ごしていないかもしれないね。


 ねえ、はやく、答え教えてね。

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