#3 何となくだけど大丈夫
「友達」の定義が分からない。
ひとそれぞれ自分なりの「友達」の距離感があって、ひとそれぞれ異なる半径の円をもっているから、それが食い違うことなんてしょっちゅうあるんだろう。だから、気にしすぎるのはよくない。そう思ってはいるけれど。
このことについて考えるようになったのは、大学生になってからだ。中高生のころは、たとえ上辺だけの関係であっても、それでもきっと友達だった。
近くの席で同じ講義を受けているこのひととは、共通の友達がたくさんいて、みんなでごはんを食べて、ぼんやりと存在するまとまりのなかにもいて、でも、一対一になったときにはたして今みたいに隣に座ることはあるのかとか。そんなひとが二年目になってもちらほらいる。
「友達」と「友達と友達」と「知り合い」の境界線は、どこに引かれるのだろう。
なんて書いているけれど、しっかりと「友達」だって言えるひとはもちろんたくさんいる。
大学の友達は、おもしろいひとがほんとうに多い。
頭空っぽになって「好き」を伝えたり、急に真面目になって考察をはじめたり、天を仰いだり涙を浮かべたり。世界にやさしくて、甘くて、寛容で、感謝していて。かと思えば突然戦争を起こすから、飽きなくて、止まらなくて、楽しいのだ。
このひとたちと笑っていたら、何となく大丈夫な気がする。大丈夫じゃなさそうなことも、大丈夫にしてしまいそうな予感がする。すごいひとたちだ。
前世はヒーローか何かかもしれない。今もヒーローみたいなところはあるけど。
だから、大丈夫だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます