第30話 【閑話】ヴィレリア・シエル(24)

「えっと、ヴィレリア・シエル、24歳です♡」


『ヴィレリアちゃん、何か意気込みとか、観てる人にメッセージとかお願い』


「そうですね……今日はぁ、私でいっぱい!気持ちよくなってくださいね♡」


『ヴィレリアちゃんてさぁ、初体験はいつなの?』


「えー?恥ずかしい♡……んっと、19歳の時です」


『場所はどこ?』


「えーっ?そこまで聞くんですかぁ?それは普通ですよぉ」


『どんな普通の場所なの?』


「カレの家……」


『あぁ、普通だね』


「……の、トイレ」


『ちょっと普通じゃなかったね』


「いや、今のとこカットでお願いしますね!!」


『それじゃ今回のお相手に登場してもらいましょう』


「あ、はーい」


『はじめましてどうも』


「どうもー、ヴィレリアです」


『僕こないだー、お姉さんのヴィダリアさんと一緒に撮影したんですよ』


「あ、そうみたいですね。お姉ちゃんから聞きました」


『楽しみだなー。お姉さんとどっちが相性いいのか』


「相性って、やだもう!直球すぎー!」


『でも、ほら。例えばお姉さんはここが弱くて……』


「やんっ♡」









「あのー、すみませんモフカーニさん、せっかくですが、僕もうお休みさせて頂きますね」


「えっ?リンさん?これからが本番なのに!?」


「いや、まぁヴィアンテ様の次女バージョンの何かのビデオだってのはもうわかったんで。今日は山道を歩いて少し疲れましたので………それでは」


「あっ………」



 バタン。



「失敗した。『出会って5秒』くらいで本番なのを観せるべきだった……」



 エルフの聖地、モフカーニ族長の家にお泊まりした夜の一幕でした。

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