第9話 Why should I go to Hollywood?





ザザっ




カーテンから現れたわたしを見て、妹が一言。



「Oh...AngeLina Jolie....」



「急に英語??!!そしてどうゆうこと??!!」



めちゃくちゃ発音が良かったので、ついついツッコミを入れてしまったが、妹はそれに怒ることも無く、そのまま固まってしまった。

これが脳殺と言うやつなんだろうか。



母親はといえば


わたしの右肩にポンっと手を乗せて。


「吉ちゃん。とりあえずHollyWood行こうか?」


と真顔で言った。



というかなんでさっきからこの親子英語乱用するの?発音外人だし。




そんな2人の謎すぎる反応を見てきょどっているわたしを見て、通りかかった店員がフォローを入れてくれた。



「とてもお似合いですね。着た感じサイズは大丈夫ですか?」


胸の締め付けは少しあるが、腰周りや肩のサイズはあっているので着心地が悪い感じはしない。


「大丈夫です。」


わたしが言うと、母親が


「じゃあこれは購入ね」


と言い服は店員によってレジの方へ持って行かれた。(購入はえぇー)



その後、残り7着をたっぷり1時間かけて試着した結果、全て購入する事になった。(ありえないだろ)


母親によると


「ガチで全部似合ってる(真顔)」


そうで、店員も


「うちのブランドじゃない」


と絶賛していた。(いや店員そういうこと言うなよ)



さらに同じ店で靴と靴下、小さなカバンを購入し、わたしたち家族(父不在)は帰路についた。



「あーぁ今日は吉ちゃんが可愛すぎるせいで50000円も使っちゃったわ!!」


母親が高いトーンで楽しそうに言う。


すると妹が


「ホントだよ。私と買い物する時は凄くケチる癖に。」


と皮肉を言った。


「まぁそんな皮肉言•わ•な•い•の!!あなたはもう十分持ってるじゃない。吉ちゃんはないと困るから買ってあげてるの。そのうちあなたと同じになるわ。」


そんな話を聞いているうちに、俺は疲れていたのか車の中で寝てしまった。




俺が起きたのは、翌日のあさ7時。

昨日車が家に着いても全く目を覚まさなかった俺を、妹と母親二人がかりで部屋まで運び込んでくれたらしい。後でお礼をいわなければ。


昨日買った洋服と下着は、ベットの横にまるでクリスマスプレゼントのように置いてあり、俺はその中から白の下着と新品のワンピースと靴下を取り出し、机の上にあったハサミでタグをしっかり切った後、慣れないブラのホック掛けに苦戦しながら、30分かけて着替えをした。(女子って大変だな)


今日は10時から学校の保健室で制服の採寸を行うのと同時に、今後のことを話し合う予定だ。

少し不安だが、新しい生活が始まるような感じがして、楽しいと思えなくもなくなってきた。



家を出るまで後1時間もあるからリビングでテレビでも見ようと僕は階段を降りた。




続く

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