第9話 意外な一面を見つけた

♪~♪♪~

「なっ!?」

少しからかってやろうと思って無理矢理マイクを押し付けて歌わせたけれど、私の予想を蒼馬は完璧に裏切ってくれた。

何せ、物凄く歌がうまいのだ。歌が上手いと言うよりも、声が綺麗と言うべきか。とにかく、プロの歌手のライブでもここまで驚いたことは今まで1度でもあっただろうか?そう考えてしまうほど上手かった。

(この曲はよく知らないけど。)

バスケのアニメの映像が流れているが、私は見たことがないし、この曲を初めて聞いたもの。それでも、この歌声は聞いていて気持ちいい。

これで、1つ目の確信を得た。蒼馬はカラオケに慣れている。

私は蒼馬について、ある可能性を考えている。それは、

“昔の蒼馬はクラスの中心に立つような陽キャだった説“

それも、きっとつい最近まで。

何となく、初めて会ったときに違和感があった。学校にも私はあまり思わないけど、周りから陰キャと言われるような人はいる。蒼馬も学校ではそっちの部類らしい。少なくとも実里はクラスの前に立って何かをしたり、友達と遊んだりしてるとこは見たことがないそうだ。

でも、話し方とか、気配りとか、何でだろうか?何だか今の蒼馬は偽物だと思ったのだ。

その仮定を証明する1歩目を踏み出せて、色々とニヤニヤしてしまう。

♪~。

と、一曲もう終わってしまった。正直もっと聞きたい。

点数は・・・

95.6点

(負けた!?)

勝てるとは思わなかったけど、何だかショックだ。

「ふっ、俺の勝ちだな。」

しかも、蒼馬は勝ち誇ってる。ムムム私だって負けないし!

「負けないからね!」

それから、1時間延長してまで2人で歌いまくったが、結局1度も勝てなかった。

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