第10話 情報屋のプライド

私こと、秋山 実里は、親友の小早川 明梨が付き合ったり、気になった男については調べ尽くすようにしている。あの子は見る目がないから、調べてみるとボロボロと悪い情報が出てくる。その度に明梨のことを説得して別れさせたり、罠をはって別れさせている。単純に私は超過保護なのだ。


「でないわねぇー。」

私の家の私の部屋で、モニターに向かっていたが、少し疲れたので立ち上がって伸びをする。私は先程まで、惣代風 蒼馬について調べていた。普段なら調べるときは私の広い人脈を使ってやるのだが、彼をよく知る人物が私の人脈にいなかったし、彼と同じ中学出身の生徒もいなかったから、仕方なくインターネットという手段に出た。

「まず、どこの学校出身かもわからない状態では、無理よねー。」

検索キーワードが

惣代風 蒼馬

だけでは、まぁ簡単に探せるわけがない。なんだか色んな人たちがヒットしてるし、ごちゃごちゃだ。

「んー?これって・・・。」

野球界に現れた天才

見出しが気になったが、よくよく読んでいくと、丁度私たちが中3の時の記事で、取り上げられている惣代風 蒼馬は同級生。

「いやいや、まさかね。」

とは思ったが、検索キーワードを変えてみる。

惣代風 蒼馬 野球

すると、

「なにっ?これ・・・?」

なんと出てくる出てくる。

失われた天才

日本野球界の宝

消えた天才ピッチャー

天才ピッチャーはどこへ?

などなど

大量ヒットである。中には惣代風 蒼馬のピッチャーの時の写真や動画もアップされている。

「キタキタキタキタ!」

これは世紀の大発見だ!キター!

テンションマックスに跳ね上がって片っ端からページを読み漁る。


さて、調べた結果・・・

彼は中学一年生の時から注目されていた天才ピッチャーだった。

彼はMAX138キロのストレートと、中学生レベルではずば抜けたキレのある変化球を操るそうだ。(これが凄いかは私にはわからない!)

中3の春の大会で怪我をしたらしい。

そして、その後は誰も彼のことを知らないという。

「だから、消えた天才ピッチャーね。」

正直、これがあのクラスでいつも角にいる彼と同一人物とは思えない。特別身体能力が良いなんて噂も聞いたことがない。でも、この写真の彼は紛れもなく、あの惣代風 蒼馬だ。


「どうして、野球を辞めたのかな。」

どうやら、彼には今までの安い男たちとは違う、情報屋の腕が試されそうだ。





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