第8話 さようなら平穏な日々

俺は今、学校の最寄り駅

(学校から片道25分で最寄りかよ。)の、とあるカラオケ店に来ていた。

ちょっと待て、何だ?この急展開は。しかも、女子と2人きりで何で?何で?

そう、俺は小早川 明梨に放課後、ラノベの感想を聞かされ、更にはこんな場所に連れてこられていた。

本当になんなんだ。理解できねぇ。

だが、俺には彼女の考えを理解するよりも大切なことがある。今まさに、俺の平穏な日々が失われようとしている。これは看過できない事態だ。

俺のそんな気も知らず、呑気に歌を歌う彼女を、どうやって俺から突き放すかを考える。

(つーか、歌上手いな。)

今歌っているのは俺でも知っているような有名な曲。

いやいや、そんなことは関係ない。とにかく、こいつをどう排除するかだ。

まず、わざと嫌われる作戦は失敗したようだし、昨日のTHEイキリ陰キャのようなノリはやめた方がいいだろう。では、どうする。

「ほら!蒼馬も歌ってよー!」

・・・ダメだ。よくわからんが、多分こいつを騙すのは無理だろう。俺の渾身の演技を、こいつは見抜いていた。なら、変に抵抗するより、ある程度流されてから、一撃で決めに行くのがいいだろう。

という言い訳(諦め)を感じながら適当に選曲する。カラオケなんて久しぶりだし少しは楽しもうと、とある男性声優の曲を選択する。

小早川さんは92~94点くらいだったから、ちょっと挑戦してみるか。

♪~♪♪~

「なっ!」


あーぁ、

しばらくは俺の日々は嵐になりそうだ。



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