第7話

 ドサッ

「た、ただいま~」



 魔王(夫)が帰るなり玄関に倒れ込んだ。



「どうしたの?!」



「はは、ちょっとヤラレちゃった」



 腕を切りつけられたのか、包帯を巻いている。



「魔導士は?!」



「ちょうどみんな出張で居なくて……」



「はあっ?!」



 どんな布陣だよ!ヘボ大魔王○ねっ!



「パパ、大丈夫?」



 さすがの娘(勇者?)も心配そうだ。



「大丈夫だよ。薬草つけてりゃ治るよ」



 そう言う魔王(夫)の顔色は悪い。

 泥だらけの鎧を脱がせてやる。



「娘ちゃん、お風呂でパパが洗うの手伝ってあげて」



「うん、わかった!」





 風呂あがり、包帯を解き、傷口を洗浄して薬草を塗ってやる。


「痛い痛い」


 かなり傷が深い。

 これは薬草だけでは無理かもしれない。



「パパ、かわいそう」



 傷を見た娘(勇者?)が魔王(夫)にしがみつく。ここぞとばかり塩を塗り込まれるんじゃないかと思ったけど、トドメは刺さないんだね。勇者じゃなかったんだね。





 魔王(夫)と娘が寝静まった後

 家来(鬼嫁)は魔王(夫)を起こさないように包帯を解く。



家来(鬼嫁)は、傷口にそっと口づけて何か囁いた。






「おはよー」



 いつも通り、魔王(夫)が一番に起きてくる。パンを焼いていると家来(鬼嫁)が起きてきた。



「おはよー」



 魔王(夫)は包帯をしていない。傷も消えている。



「あの薬草すごいな!一晩で治っちゃったよ」



「良かったね」



 家来(鬼嫁)は卵とソーセージを焼きはじめた。






 あげとく。

 それが家来(鬼嫁)の流儀。



 ─完─


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夫が魔王に就任したのだが ぴおに @piony

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