第30話 再災

「ほんっとに疲れたぁぁ......」


私、秋咲 唯未は疲れている。


やっと、やっとだ....

やっと雲水、いやもう違う。星雨を助け、友達(?)になることが出来た。


「これで私も少しは成長出来たかな。」


この間言われた探君の言葉が脳裏に過ぎる。

星雨は探君に嫌われたと言っている。


けど、きっとそれはなにか裏がある。

私に、自分のことが嫌いな人間を助けろと言ったけど、その人間とはきっと星雨だ。

星雨を助けろと言ったのだ。

しかも、星雨の話を聞く限り、私に探君がそのことを話したのは星雨が探君に嫌われた後である。


何か、動いている。


きっと探君は本当に星雨を嫌っているわけではない。だから私に助けてあげろといった。


その理由はなぜ?星雨が傷つくようなことをした、そしてなぜ私にそれ。助けろと言った?

わからない。読めない。本当に読めない。


手元にあるスマホを見る。

電話しようか、電話して聞いてみようか。


いや、やめよう。


探君は裏で動いている。

でも、彼は悪事をするために動くような人ではきっとない。なら、私はどうするか。

彼を影で支えるしかないだろう。


「もうひと踏ん張りか....」


あとちょっと、そんな気がする。


絶対に役に立ってやる。


たとえ、命に代えてでも。




────────────────────



学校に着いた。


久しぶりの学校である。


朝は緊張して心臓バクバクだったけど、他クラスの子達が話しかけてくれて、気持ちも楽になった。


そうだ、私は友達がいる。さぐりんだけではないんだ。三島なんて怖くない。


教室の前に着いた。


いつもの私、いつもの私、いつもの私、いつもの私....


よし行こう。


「みんな〜ひさしぶり〜おっは....」


絶句した。全員がこちらを冷めた目で見ている。


「お、おはよう.....」


誰も返事がない。

どころか、まるで私なんていないみたいにまたクラスに喧騒が戻った。


何で?何で?何で?

私何かした?何があったの?


自分の席に着きまずさぐりんを見る。

私の存在など気づかず、いつものように読書をしている。


じゃあ.....!


そして三島を見た。

見られたことに気づいた三島は、こちらを一瞥しクラスメートの会話に戻った。


楽しそうに笑っていた。その笑みは、かつて私を裏切った時の、最悪の笑みだった。



────────────────────



『助けて』



Linuには、その三文字が打たれていた。


私はすぐさま三組に向かう。

三組は、どのクラスにも見られるような喧騒が繰り広げられていた。


そして、その中に1人ぼっちの星雨がいた。

星雨の方へ向かう。こちらに気づいたようだ。


「あ.....唯未....」

「何これ.....」


星雨の机の上には、ありとあらゆる罵詈雑言が書かれていた。


「ちょっとおいで。」


星雨の手を引っ張る。

三組の人達の目など気にせず、強い力で手を引き、屋上まで連れて行った。


「ちょっと、唯未痛い。」

「ごめん」


少し間ができた。


「で、星雨。どうしたの?どうなってるの?」

「学校来たらこうなってた。」

「え?」

「だから、学校来たら、書かれてた。」


星雨が学校に行き始めてだいたい1週間が経っている。


「え、急に....?昨日はなんともなかったの?」

「いや、初めて来た日はみんなに無視されて、それからだんだんエスカレートして...」


「なんで言わないの!?」


「えっ?ごめん...」


急に怒鳴った私を見て、星雨は驚いていた。正直私も驚いている。

こんな大声を出すなんて。


きっと私は怒っているんだろう。星雨をいじめたクラスメートに対しても、私に何も言ってくれなかった星雨に対しても。



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こんにちは。嵩いの李です。皆さん、いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。

レビューやいいね、コメントして下さりますと、とても喜びますし、モチベーションがすごく上がります。特にレビューして下さるとハイテンションになって裸で踊り狂います。質問等もお待ちしております。

毎日21時投稿を心がけておりますが、嵩いの李は現役高校三年生、受験生なので、やむを得ず投稿できない日もあります。何卒、御理解お願いします。これからも、『ラブコメ主人公は爪隠す』をよろしくお願いします。

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