第24話 準備

放課後教室で勉強していると探君が来た。


「よ、秋咲」


「どうしたの?探君」


「最近どうだ?」


それから他愛もない話をしばらくした。そして、


「で、用件は何?探君」


探君はこんなことを話すためにこの教室に来る人ではない。


「ああ、俺が言うのもなんだけどさ、お前って完璧な人間になりたいの?」


「うん。なりたい。」


探君という本当の完璧がいるけど、私は私なりに頑張っていこうと決めた。

今までの努力を無駄だとは思いたくない。


「もしかして、俺のこと完璧な人だと思ってる?」


こういうところだ、何でも思っていることを当ててしまう。


「うん。」


「俺は完璧なんじゃないけどさ、お前に一つアドバイスしていいか?」


「何でも言って。」


「普通のことだけど、自分のことが嫌いな奴を助けてあげると自分自身も成長できるぞ。」


誰のことを言っているのだろう。

私のことを嫌っている人を割とたくさんいる。



でもふと、屋上で直接嫌いと言われた白髪の女の子を頭に浮かべた。

そして、言った。



「うん。わかった。やってみる。」



────────────────────



夜、俺は例のメール主と連絡を取っていた。


『俺はお前を信用するとこにした。これからどうしていくつもりだ。』


『うーん、メールじゃ話しづらいから電話じゃダメかな。』


それはダメだ。声を録音される恐れがある。信用したと送ったものの全てを信用しきっているわけではない。


『電話は厳しい。』


『もしかして、録音とか気にしてる?』


まるでこちらの考えていることがわかっているかのようだった。

俺は素直に肯定する。


『してる。完璧に信頼しているわけじゃないしな。』


『ならこのボイスチェンジのアプリ使って。無料だから。』


そう書いて、その下にはそのソフトのURLが貼ってある。

ウイルス.......とかあったりして。


「考えすぎか......。」


俺はURLを開いてアプリをダウンロードした。

試しに元中に電話をかけてみる。


「ん?景か?どうした?」


「これ、声変わってる?」


「ん?誰だ.....?間違い電話かな.....。」


「いや、俺、景だ。三島景。友達にボイスチェンジのアプリを紹介してもらったんだけど、どんな声になってる?」


「ええ!!すごいなそのアプリ!俺には女の人がしゃべってるようにしか聞こえないよ。ちょっ‥‥教えてくれ。」


そうか、そんなに有能なアプリだったか。けどこのアプリが広まるのは少々まずいので、


「悪い、なんか広めちゃダメって言われてて‥‥」


「そーかならしゃーないな、用件はこれだけ?(笑)」


友達の笑い声が聞こえた。


「そーだよ。ごめんねまた遊ぼうね。」


「おお、なんか彼女ができた気分。」


「うわー、きついわー」


「やめろや(笑)じゃまた」


「うん。じゃーな。」


電話を切った。性能は問題なさそうだ。


『アプリを入れました。電話できます。skypaの番号は‥‥』


そして通話アプリ、skypaのIDを教えた。

すぐに電話がかかってきた。


「もしもし。」


女の子の声だった。この子もボイスチェンジ使ってるのかな。


「もしもし、君もボイスチェンジのアプリ使ってるの?」


「規約に書いてなかった?そのアプリ通話している2人のうち片方しか使用できないの。」


「そうなのか。君は声を変えないの?」


「私はあの女を潰せれば自分がどうなったっていいの。」


その声には強い憎しみが感じられた。


「わかった。それで、これからどうしていくつもりだ。」




「うん。私の言うことに従って。」


────────────────────



こんにちは。嵩いの李です。皆さん、いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。

レビューやいいね、コメントして下さりますと、とても喜びますし、モチベーションがすごく上がります。特にレビューして下さるとすごくハイテンションになって裸で踊り狂います。質問等もお待ちしております。

毎日21時投稿を心がけておりますが、嵩いの李は現役高校三年生、受験生なので、やむを得ず投稿できない日もあります。何卒、御理解お願いします。

これからも『ラブコメ主人公は爪隠す』をよろしくお願いします。



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