第9話 姉妹、領内を散歩する

 よく晴れた午後、姉妹は領内で散歩に出かける。

「風が気持ちいいよね、お姉ちゃん」

「そうね、散歩日和ね」

 妹ガブリエルと姉エルモは道を歩いている。

「ねえねえ? お姉ちゃんは好きな男性はいるの?」ガブリエルは何気なく言った。

「え、いないけど?」姉エルモはそう答えた。

「ふーん」

 そんな二人の前に、なんと絵に描いたような白馬の王子が現れたではないか。

「そなたたちは、姉妹であるエルモとガブリエルであるな?」

 姉妹は顔を見合わせた。

「そうですけど、何かしら?」姉エルモが聞いた。

「私は国王の息子である」白馬の王子はそう答えた。

 姉妹は顔を見合わせた。すると、やんちゃ令嬢ガブリエルは笑い出した。

「何がおかしい?」

「だって! 白馬の王子が存在するなんて、てっきり絵本の中だけだと思ったからよ!」やんちゃ令嬢ガブリエルはまだ笑っている。

「フフ、まあよい。私はガブリエル、そなたを気に入った。さあ、うしろに乗るがよい」白馬の王子はそう言った。

 しかし、

「アーハッハッ! 助けてお姉ちゃん! 笑いすぎて死んじゃう!」やんちゃ令嬢ガブリエルはお腹を抑えて笑っている。

「よいか? そなたたち貴族は我々王族の部下に当たる。これ以上の無礼は許されないぞ?」白馬の王子は今にも怒りそうだ。

「ふー! わかった! 馬に乗せて!」やんちゃ令嬢ガブリエルは笑いを止めてそう言った。

 白馬の王子とガブリエルは馬に乗ってカッポカッポと領内をぐるぐる回り始めた。

「どうだ、ガブリエル? 楽しいだろう」白馬の王子が聞いた。

「全然」そう、やんちゃ令嬢ガブリエルは言った。

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