第10話 修行の終わり

「よ、って。いつ帰ってきたの。」

「さっき着いたばっか。」

「修行は終わったのよね。」

「でなきゃ戻って来ねぇよ。」

板前らしくきっちりと短く揃った髪が前田らしくなくて、でもよく似合っている。

おじちゃんもおばちゃんも、息子に会うのは数年ぶりで二人ともとっても嬉しそう。


「俺ちょっと出てくるから。親父無理して動くなよ。」

私とおばちゃんはどこに行くのか分かっていたから、玄関を出て急に走り出した足音に、二人して思わず笑ってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

素直はいらない @mufufufu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ