夢が生まれた日(あした、目覚めたときに return 0;)

 西暦20xx年……



 世界調和のための医学的アンドロナイズ技術の利用が認可された。あの財団は国際的レッドカード組織として認定され、解体。ついに永遠銀盤はすべて揃ったかにみえた。しかし、いくつかの破片は、長い歴史のなか、失われてしまっていた。

 完全な『機動人間』の復元は不可能であるという事実と同時に、この余白は未来に生きる人類の課題として開発を進め、皆が幸せになれるように『完成』させることができるという未来も具現してくれた。


 水間夫妻、旧財団等は永遠銀盤にかかるすべてのライセンスを放棄した。この先、皆でよりよい未来を作るために……。



 リウノリは西欧某国の『カシュフォーン記念博物館』の館長として日々世界から集められる機動人間の技術の断片を編さんし続けている。疲れたときは中庭の大きな木陰で、こどもたちと語らい休む。


 アイカは中南米某国で、まだまだ口だけは達者な明羅あきらと共に、少数民族への医療支援をしながら、永遠銀盤のかけらを探し続けている。


「造られたカシヒト」とミノリは、アンドロナイズ化を断り、ネットワークシナプスとして日々ブラックハッカーの駆逐、パケットフラグメントの調査を行っている。




 そしてカシヒトは……




 大人になった「つばさ」は、総合支援病院のドクターをめざして日々研修。大きな病院にはリハビリ部門も併設され、病気やケガで通常歩行が困難になった人へのサポートも行われている。


「やあ、つばさ」

「カシヒト君!」


 広い渡り廊下。歩行サポートをしているのは、大人の姿のアンドロイドの「カシヒト」だった。



 明るい廊下。窓からの光が、ふかくさしこんだ。
















【完】





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機動少年カシュフォーン なみかわ @mediakisslab

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