第2話 くまモン、初めてのハワイ
1.飛行機と時差
今回のお話は、くまモンの海外旅行。飛行機で向かったのは、日本人にも人気のハワイ。座席でいつの間にかうとうとしていたくまモン。機内食の威いニオイで目を覚ましました。
「時計をハワイ時間に合わせてね」
とキャビン・アテンダントのキレイなお姉さんに声を掛けられたくまモン。
腕時計を取り出すと、
「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」
と時間を示す文字盤の数字をどんどん戻しました。時差を合わせるためです。ハワイの時間は日本より19時間も遅れているのです。日本がお昼の12時の時、ハワイはまだ前の日の朝5時。みんなの多くがまだ夢を見ています。
日本とハワイの時差があるのは、地球が丸いから。朝から昼、夜を過ぎて次の日の朝まででちょうど丸一日で地球はグルッと一回転するので、日本から何千キロも離れたハワイでは時間の差があるんだよ。
2.初めてのハワイ
6時間ほど飛行機に乗って、くまモンはハワイに着きました。
「フワァ~」
くまモンは大きな口を開けてあくび。時計を見ると、まだ夜の7時。首をかしげるくまモン。
「そうか!」
くまモンは大袈裟に手を打ちました。そう時差です。ハワイは夜の7時でも、日本は次の日の夜中の12時。ふだんのくまモンはとっくにお布団の中だからね。みんな知ってるかな? 時差ボケっていう症状です。
ホノルル空港では、ウクレレの演奏とフラダンスのお出迎え。首からレイを掛けてもらったくまモンは、すっかり南国気分で心も踊ります。
ヤシの木やパームツリーに囲まれたホテルと青空に浮かぶ真っ白い雲。ウキウキ気分でワイキキビーチにやって来たくまモンは、サングラスに海水パンツ姿。
「海パンは少し恥ずかしいけど、グラサンのおかげでボクだと分からないから、まあいいか」
誰からもすぐ気づかれそうだけどね。
3.ハワイでも有名人
「ハーイ、くーまモーン」
ほら、やっぱり気づかれた。
「あれ? 何で分かったの?」
「だって、そんな格好してるのくまモンしかいないよ。ハワイでもツイッターも人気だし、有名人よ」
「で、キミはだれ?」
「見れば分かるでしょ。フラダンスの衣装とハイビスカスの花。ハワイのフラモンよ」
フラモンは、フラダンスの腰ミノと真っ赤なハイビスカスの髪飾りをつけた可愛い女の子でした。
「ナイス・トゥ・ミート・ユー」
「ハ、ハロー」
「ハローはないでしょ。ナイス・トゥ・ミート・ユー・トゥーよ。もう、ニッポン人はこれだからコマルネ」
フラモンにギュッとハグされたくまモンは、顔が真っ赤になりました。
恥ずかしくてモジモジしているくまモンの手を取ったフラモンは
「じゃあ、私が案内してあげる」
と連れて行ったのは国立天文台。富士山より高い標高が4,000メートルもある山にあるので、身体を慣らすために途中で一泊しました。
高い山では、見たこともないたくさんの星が空一面に広がっています。くまモンは目をパチクリ、パチクリ。あまりの感動で、悲しくないのに不思議と涙が出てきました。隣には、フラモンが肩を寄せてぴったり寄り添っています。
「うわぁー」
と言うだけで言葉が出てきません。
日本製の大きなレンズが特徴のすばる望遠鏡をのぞいて見た宇宙はとってもロマンチックでした。
4.ホノルルマラソンとダイヤモンドヘッド
二人が次にやってきたのはホノルルマラソン。日本人も多く参加する人気のマラソン大会です。常夏のハワイでは暑さ対策のため、まだお日様も登っていない真っ暗な朝早いスタートです。
「よーし、走るぞ」
くまモンは両手をグルグル回すと、フラモンに投げキッス。ハワイにも慣れて、ようやくいつものくまモンに。テレビで見るマラソン選手と同じ42.195キロも走るので、途中で歩いたり、横になって休んだり。でも、日本人のランナーもいっぱい。みんなに日本語で声を掛けられて励まされました。6時間ちょっとで何とか完走したくまモン。
「ああ、気持ちよかったぁ」
ハワイで一番賑やかなアラモアナモールでアロハを買ったくまモンは、フラモンと一緒にダイヤモンドヘッドに。昔の火山の噴火口で、ハワイでも大人気の観光地です。
高さは230メートルくらいで、1.3キロの登山道には急な階段もありますが、ハイキング気分で登りましょう。直径が1キロもある噴火口は大自然の不思議さを見せてくれるからね。目の前に広がる大きな海と、ずーと向こうに見下ろすホノルルの街並みも登った人だけのご褒美だよ。
一年中、日本の夏みたいなハワイは日焼けもしたけれど、くまモンはちゃんと日焼け止めを塗っていたから大丈夫。
誰かな? くまモンは肌が黒いから日焼けしても分からないなんて意地悪言うのは。
こうしてくまモンは、フラモンとのデートをいっぱい楽しんで、帰りの飛行機に乗りました。おっと、時計の時間を日本の時間に合わせなきゃね。今度はハワイの時間より19時間進めなきゃなりません。大きな指で腕時計の小さなボタンを器用に操作するくまモン。何か、未来に行くような不思議な気分でした。
今回はこれで、おしまい。
超短編 くまモンのススメ 絵のない絵本シリーズ 鷹香 一歩 @takaga_ippu
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