解説

笠郎女(かさのいらつめ)。

万葉集に、二十九首収められていて、ぜんぶ大伴家持に送った恋の歌です。

ぜんぶ。オール。家持さまへ。


家持さまには、正妻がいらっしゃっるので、笠のおじょうさんは、

二番目? 三番目の女です。(ちなみに正妻は、坂上大嬢(さかのうえのおおいつらめ)……大伴坂上郎女の長女です。)



笠のおじょうさんの歌は、一途で胸を打ちますね。

前のページでは出さなかったのだけど、わりと有名なのがあって、



相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼の後(しり)へに額つくごとし


訳:思いあえない人のことを思うのは、大寺の餓鬼(がき)の像を後ろから額づいて拝むようなものだ。


というもの。

当時の女の人があんまり使わない表現を使った斬新な歌なんですって。

今の感覚ではパッとイメージしにくいかもしれないけど、なんか、迫力というか、すごみを感じますよね……。

罪な男だぜ、家持さま……。



次は最終回。作者未詳の歌をご紹介してシメようと思います。


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<R1記念>万葉集みずほ訳 みずほ @mizuhooo

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