第4話

アイルは、ひどくお腹がすいたことに気づき、まだ夜更けではないのにも関わらずまた目を覚ました。周りの魔物たちは、数時間前に起きたことなど忘れているかのように熟睡している。

どうやらこのエリアで起きているのはアイルだけのようだ。アイルは、寝ている魔物の邪魔をしないようにと休憩所を出た。


休憩所の周りはからすの鳴き声もなく静かだった。太陽が微妙に空に出ていて闇夜にさせまいと光輝いている。アイルは、耐えられなくなったのか敷地内を出ようとした。

「あれ?まだ人間を襲う時間じゃないよね」

しかし、聞き覚えのある声の雌に呼び止められた。どこか反抗心のあるような雌。アイルは、後ろを振り向くとあの悪魔ともめたギャルサキュバスが立っていた。ギャルは、髪を二つに団子状にまとめ、人間を真似たのか爪を長くしてキラキラさせている。

「もしかして、お腹がすいて目が覚めちゃったの?ありえなっ」

サキュバスは口元に右手を押さえ馬鹿にしている。そのキラキラとした爪が太陽に負けじと輝きながら。

「あーあ。インキュバスも人間と同じく性欲が強いのか」

サキュバスは諦めながら呟く。きっとあのサキュバスにとって雄の性欲とは敵なのだろう。ギャルなのに以外だ。

「悪いか、性欲強くて」

アイルは話したくはなかったが言い方が癪に触ったらしく口を開いた。そのとげのある言い方にギャルは少し怯んだものの、どこか威嚇しているように見えた。

「悪いよ。女が不利じゃん。男の性欲を満たすのって女の性欲を満たすのよりも体力いるんだから」

サキュバスはアイルをにらみながらその場を後にした。



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