懐かしい再会

私は学園の外を再び歩き、学園の裏にある森の中へ。

辺りに霧が発生し何処を歩いているかわからなくなる。


「はぁはぁ」


私は息を切らし、森のかなり奥まで来てしまったらしい。


辺りは完全に森に囲まれ、いつしか、厚い雲が

月明かりを隠してしまった。


「うそっ」


月は、私の悲しみなんて知っているわけも無く

真っ暗闇に……。


「もぅ~ここ何処」


どんなに叫んでも誰も来るはずも無く。


暗やみから顔を出したのは。


「りっ理久君」

向こうは、ハッとなり

私以上に理久君はびっくりしているみたいだった。


「菜月さん?」


理久君は学園から出てかのんさんと一緒に

電波の届かない所行くと話は聞いていたけど、

まさかこんな所で遭遇するとは知らず。


理久君の顔がわずかに月明かりに照らされ雲の間から顔を出した。


月も暗やみでは太陽と似ている。


理久君は膝を曲げて座ると、私のれた

足のかかとに目線が。


理久君が私に覆いかぶさるように上から、

ぎゅっと抱き締められて理久君の身体の

ぬくもりが伝わって来た。


「あれからずっと菜月さんとまた会える日を

僕は待ってました。

また会えて嬉しいです」


理久君の“肩が”丁度私の顔の辺りに。


「私も理久にずっと会える日を待って居たから、

戦いに巻き込んでばかりで」



「菜月さんどうかしましたかっ?とてもつらそうに

僕は見えます」


理久君は密着し重なった身体から、少し離れ

理久君の手が私の肩に両手が乗せられ

わずか

理久君の顔が悲しげに見えた。


「かのんさんは元気?

理久君と一緒になったんでしょ?」


理久君は私の言葉を聞くと、私の方に目線を戻し

少し顔を右に傾け物凄い笑顔を向けてきた。


「僕、かのんさんと別れました。実家に戻ると

言ってから、実家で運命的な出会いがあったみたいです。

僕はずっと菜月さんの事を気になってました。

もっと知りたいです。菜月さん僕今凄く嬉しい

僕はあなたが大事です僕は」


理久君の顔から涙が溢れ、右肘みぎひじ

涙をぬぐう。


私は、理久君が可哀想だと思い優しく引き寄き寄せ

腰の辺りに両手を回し理久君と重なる。


「私も理久君の事大事だよっでも、理久君の事

私はまだわからないのごめんねっ」


理久君の顔は私からは見えないけど理久君の涙声で

わずかに感じ取る。


「菜月さん僕はあなたを連れて行きたい場所が、あります

僕と一緒に来てもらってもいいですかっ?」


私は、理久君からの誘いに乗っただけど。


理久君はしゃがみ込み私に背を向けて

背中に乗るように手で合図を向けてくれた。


身長から考えても私の方が少し高い、そう考えると押しつぶ

してしまいそう。



「そこにある絵本を持って僕の背中に乗って下さい」

理久君がさっき地面に置いた数冊の本、

私は心配もあったけど言われた通り本を持ちリク君の背中に

またがり背中に乗った。


両肩に手を回すと

理久君はス―ッっと立ち上がる。


視界が高く浮上し少しずつ移動。


理久君は思っていたよりずっとたくましく思えた。


「理久君、大丈夫?」


「大丈夫です僕、沢山木を運んだりして体力つけていました。

病気ばかりしていましたから、

 菜月さんに学園では心配をおかけしてばかりで」


理久君におんぶされ、私はホッとした。


気を使って居るのか

無理をして居るのか分からないけど


理久君のぬくもりが伝わり少し私の体温が上がる。




理久君は、黙ったまま。


――。


しばらくすると木で出来た山荘の建物が見えた。


立て札に、

“山の施設学園”の文字が

「着きました、もっもう少し建物の近くに行きますね」

そういうと、建物の近くに行き。


“ギィ―”


少しにぶい木のきしむ音が鳴る。


中は、薄暗く真っ暗。


理久君が電気をつけると中央に階段が見え

いくつかの扉が。



理久君は右の一番奥の部屋に向かい、

扉を開けると部屋の明かりを点け

私をベットの上におろすと出入口に戻り玄関の明かりを消したのか、

扉の外が暗くなる。


“バタン”


理久君が部屋に戻ると部屋の鍵を掛けた。


「僕は、隣の部屋で寝ますから

今日は泊まって行って下さい、

明日車で学園に連れて行きますから」


私は、笑顔でこっちに

やさしい言葉を向けられ恥ずかしくて、下を向くと

理久君が山で地面に置いた本のタイトルにびっくりした。

子供が読みそうな本のタイトル。



「それはっ学園の子供が読む本でっ」


理久は少し腰を押さえ顔を歪める。


「理久やっぱり無理して」


「僕毎日木を運んで居たから菜月さんは関係無いです」


私は、ベットから立ち上がり理久君の方に歩み寄り、

少し腰を曲げて、

本棚に手を付居ている理久君の腰の辺りを

ゆっくりでた。


「うぅっ」


理久は目を閉じ眉間にしわが寄る。


「あのっすいません菜月さん

ちょっとベットで横になってもいいですかっ」


理久は私のベットの右上に“ドサッ”と倒れて込み

目を閉じてしまう。



「すいません僕頼りなくて」


私はベッドから起き上がり洗面台の近くの棚からタオルを取り。


“ジャ―”


タオルにお湯をつけ絞り、理久君の背中のTシャツを少し

まくり上げ温かいタオルを乗せる。


「あっありがとうございます」


小さくて弱々しい声でうつ伏せ状態で伝えてきた。


私も理久君のの隣にうつ伏せに寝転ぶと、


びっくりした理久君の目が見開き、お互いに目と目が合うと

理久君の顔が真っ赤になる。


「あっえっと」


右手で理久君の髪の毛を真ん中から、外側に向けると、

理久の顔がさらに赤くなり


「!?」


とっさに、理久君の腰に手を回し抱きしめた。



“ドン”っと

私の手を払い急に拒否をしてきた。


「はぁはぁはぁ」


目を閉じながら荒い息をして呼吸が苦しそうに見えた。


「ごほっごほっ」


苦しそうにに咳をし横になり、また咳き込む。


「はぁはぁはぁ…」


額から汗がにじみ出て苦しそう。


「はぁはぁ、すっすいません僕身体が弱くて」


“ギシッ”


理久君は身体を起こし、もたれかかり少し上を向き

荒い息を整える。


「理久君?大丈夫?」


理久君は、机の方を指差し何かを言っている。


「菜月さんすいませんそこから薬を、はぁはぁはぁ」



理久君は片手で肺の辺りを押さえ必死に伝えてきた。


私は、再びベッドから起き上がり机の引き出しから

薬を取出し、理久君に渡す。

コップに水をつぎ理久君に渡すと、すぐに薬と水も飲む。



――。

理久君は、落ち着きを取り戻しそのまま深い眠気に襲われ

寝てしまった。


同じベットで寄り添う様に一夜を明かす事に。


理久君の寝顔を見ながら。



私は明け方、理久君と一緒に食事を済ませ

足のかかとの痛みが少し引いたので、

理久君の運転する車で学園迄送ってくれた。


子供の親が居ない子供の達の施設を手伝い、

今は過ごして居る事を理久君は教えてくれた。

 

学園前で車を止めると理久君は。理久君はまた今夜会いたいと、

車を走らせ帰って行った。









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