春紀との学園生活

佑弥君はきっと寝て居ると思いチャイムは鳴らさず、

春紀君の部屋に直行する。


トントン


「春紀君?菜月だけど居るかな?春紀君?」


中から何も声がしないのでドアを開ける。


ギィー


部屋のドアを開けると、仰向けになっていてベットの

横で寝て居る様に見え近づく。


「春紀君?」


夕方にも関わらず朝と同じパジャマ姿、

春紀君を両手で持ち上げ春紀君が目を覚ます。


「!?あっあれっ菜月さん、僕?ここで何して?」


春紀君が慌てて起き上がろうとすると、ふらふらしていた。


「春紀君?」


「あれっなんか、頭がくらくらして」


ドサッ


春紀君がその場に倒れて私がとっさに春紀君の身体を両手で受け止める。


「ごっごめんね、どうしたんだろ?なんか頭がくらくらして、おかしいな?」


春紀君のおでこを右手で触るが特に熱は無かった。


「なっ菜月ちゃん僕はいいから、佑弥の事お願い」


春紀君を右肩に乗せて、ベットの上に移動させ上から布団を掛ける。


「春紀君佑弥君の心配する前に、自分の身体の心配をしないと、

何か食べた?」


「うーん?食べた様な食べてない様な?

僕覚えて無くて、マネージャーが今日は仕事お休み

だからゆっくりしていいって言って帰ったのは覚えて居るけど」


「友松さんが居たのは、確か朝だよね?

帰ってから、春紀君が記憶が無いなら何も食べて

無いことになるけど、私にご飯食べたか聞いてきた事はあったけど」


バサッ


春紀君はベットから上半身を起こし。


「こっこれねっ菜月ちゃんにあげようと思って」


ゴソゴソと鞄の中から、焼きそばが入ったパックを見せてきた。


「春紀君焼きそば好きなの?確か屋台の時も、

焼きそば食べて居なかった?」


「うんっ僕佑弥が売店でよく焼きそばを買っておごってくれたのが

焼きそばだったんだ、それからよく焼きそばを買うようになったのもあるけど、

小さい時に好きだった子が、焼きそばを好きだった話しを

よくしてくれて居たから、

あれは、菜月ちゃんの事だったんでしょ?

菜月ちゃんの前では、小さい時の話しは禁止って言われたけど」


「春紀君、もしかして私の事佑弥君から聞いてたの?」


「うっうんっ、ぬいぐるみのくまごろう直してくれた後に

でも、彼女の事を話す時いつも苦しそうで、

菜月ちゃんの事とはハッキリは言わなかったけど、何となく

そうなのかなって、菜月ちゃんは佑弥の事、

ごっごめんねっこんな事言うのもおかしいよねっ?」


「私結局は佑弥君をずっと苦しめて居た事になるよね?

ハーモニカを拾った時も佑弥君を苦しめてしまって居たり

それに春紀君の事も・・・・・・」


バサッ


春紀君が起き上がり、私の肩に両手を回し飛びついて

ギュッと抱きしめて来た。


「僕もずっと辛かったよ、だって僕ぬいぐるみを直してくれた時から、

ずっとずっと、菜月さんの事が気になって居たからでも、

佑弥は菜月ちゃんを見ると何かを思い出した

みたいに、苦しそうでだから僕は入る場所が無くて」


私も、春紀君の腰を両手で優しくギュッと抱きしめ。


「春紀君の気持ちは私も気づいていたのに、

ごめんね、春紀君の事がお仕事一人で

こなしている事が気がかりで」


「ぼっ僕は大丈夫、それに僕もうすぐここを出るから

僕の弟が見つかって生き別れになっていた。

僕、母親に捨てられていて孤児だったんだ、

子供の時から施設に預けられていて、

佑弥と高校になってから一緒に暮らす家族が出来て

歌手デビューも出来たけど、恋愛学園で弟に出会って戻って来ないかって、

今のお仕事はそのまま続けるつもりだけど

佑弥とここで暮らす事に悩んで居たから、

菜月ちゃん佑弥と一緒に居てあげて欲しい

僕の事は気にしないで?」


私は、春紀君の言葉にびっくりした。


私はずっと春紀君に対して気持ちがある事に気づいた。

でもまだ気持ちは定まって居なかったので、

告白までは伝えられなかった。


もう少し一緒に居たいと思い春紀君をぎゅっと抱き締める

春紀君はびっくりしていたけど拒む事は無かった。


「なっ菜月ちゃんくっくっ苦しいよっ

どっどうしたのっ?」



「春紀君私ねっ春紀君の事がずっと気になっていて」


「ありがとう菜月ちゃんでも菜月ちゃん僕でいいの?

僕しばらく働けないかも知れないから、

無理して居た事に気づかれて居たみたいで、

友松さんから一ヶ月くらい仕事を休養休する

ように言われてるから」


「その間ずっと傍に居られるから私は嬉しいけどこれっ

よくみると、湧麻君の写真だよねっ?」


私が佑弥君が襲われた後に拾った写真を春紀君に見せると。

何かを感じ取ったかの様に暗い表情に戻り私から離れる。


「あの時春紀君落とした物だと思ってずっと持って居たの、

返さないといけないと思って、

春紀君は木の陰から

ずっと佑弥君の事見ていたの?」


少し間が開き春紀君はあの時の記憶を思い出したかの様に

春紀君は全身で震え始める。


「ごっつごめんねっ、あの時は逃げてしまって」


春紀君は恐怖でもあるのか、さらに震える。

トラウマでもあるように。


「怖かったんだねっ春紀君も、私もあの時、

佑弥君を助ける事も出来ずに居たから」


「僕、佑弥を助ける事も出来たのに

足がすくんで動けなくて、たまたま通りかかって

菜月ちゃんと佑弥の声が聞こえて、二人の後を追いかけて

居たら、あの女の人が佑弥をあんな目に、

僕あの後すぐに行かなきゃ行けないお仕事があって

佑弥とは別のお仕事だったけど、ごめんねっ菜月ちゃん」


春紀君の額から大粒の涙を流し始める。


「僕が学園の裏庭に居て不良に絡まれたあの時も、

菜月ちゃんの後ろに隠れて、佑弥を助けずに

逃げて居たから」


「春紀君一人で木と特訓していたよね?

二度目に女性達から佑弥君が絡まれた後くらいから

私、眠れない時に春紀君を夜見かけていたから

木に紐か何かを巻き付けて引っ張って居たのを」


「みっ見てたの?菜月ちゃん」


春紀君の顔が真っ赤に染まり慌てた様子。


「学園の外はライトアップされて居るから、

学園の配慮なのかなっ?

おかげで春紀君の事を知る事が出来たから」



私は春紀君の部屋から移動し恋愛学園の外をふらふら一人で歩いて居ると

学園の生徒達が夏のイベント合宿的なふれあい重視的に外で

キャンプしている為


人気ひとけを避けて学園のテント付近を探したもしかしたら

ここにゲーム世界で出会った人達に出会える可能性もあったから。


「見つからない…」


私が、しょぼぉ~んっと肩をおろすと後ろからぎゅ~っと

手を掴まれた。 …だぁ~れか居たの~?」


振り返ると…まったく知らない男性。


背が高くて少しお酒の

においがした。


「彼女一人?俺と一緒にテントに来ない?」


お酒に酔い悪ふざけなのか、少し鼻で笑う。


「かわいいねぇちゃん一人で…危ないだろうにっヒック」


手を引かれ、手を離す気配も無く困り果てる。


「離してください私は用が」


「おいおいどうした?」


向こうからまた一人知らない人が。


「…んっかわいいねぇちゃんをナンパ中、

邪魔すんなよっオレが見つけたんだからよっ!」


ぎゅっと後ろから、抱きしめられ完全に身動き取れない。


「確かにかわいい…オレタチノテント来る?」


悪ふざけなのか、遊びなのか、わけもわからず、絡まれ困り果てる。

身動きが取れず、ただ“されるがまま”の態勢にある気がした。


「イヤ!!」


私の叫び声に、周囲の目線がこっちを向き男性は、

周りを“キョロキョロ”。


「見せ物じゃねぇあっちへいけっ!」


周りを追い払い気分がいいのか苦笑いし顔を近付けてきた。


「ホント…オレタチノ嫁にいいなっ…」


“ボコ”


強烈な一撃が知らない男性の顔に命中しその場に倒れこんだっ。


「何だっ!?」


目を見開いて見ると、

そこには、佑弥君の姿が騒ぎを聞き付けたのか、助けに来てくれた。


「何しやが…」


“ボコ”


もう一人の男性も顔を殴られ、そのまま倒れこんだっ。


「こっこのぉ…」


酔った男性1人は佑弥君のお腹を狙い、

もう1人は背中から手を回し両脇を掴み

後ろから佑弥君を押さえつけつけ身動き取れなくされた。


「ぐぅ」


肩に痛みを感じた佑弥君は、腰を曲げ顔を歪めた。


「何だっこいつは弱すぎじゃないかっ?この顔どっかでっ」


「ゆっ佑弥君?ねぇあれ佑弥君だよねっ?

最近ライブに来てないと思って居たけど、あれ誰?」


周りに居た女性達のざわざわに、不良達が血相を変える。

男達二人は、佑弥君の顔を眺め苦笑い。


「こいつ痛い目合わせとくかっ?」


"ボコ”


強烈な一撃が知らない男性の顔に命中しその場に倒れこんだっ。


「何だっ!?」


目を見開いて見ると、

そこには、春紀君の姿が騒ぎを聞き付けたのか助けに来てくれた。


「何しやが」


“ボコ”


もう一人の男性も、顔を殴られそのまま倒れこんだっ。


「こっこのぉ…」


酔った男性1人は、春紀君のお腹を狙いもう1人は背中から

手を回し両脇を掴み後ろから春紀君を押さえつけつけ、

身動き取れなくされた。


「ぐぅ…」


肩に痛みを感じた大季君は、腰を曲げ顔を歪めた

私は佑弥君と春紀君の前に立ちはだかる。


「あれって許せない、佑弥君や春紀君に何するの?」


「学園でこんな事で乱暴するのは許せない!」


周りに居た二人を知る生徒がいつの間にか囲み


“ドカッ”


“ドカッ”


不良達が生徒達から攻撃され拳が命中しそのまま倒れこむ。


「こいつらヤバイっ!行こうぜっ」


男性二人はその場を去った。


佑弥君は、倒れたまま意識を失って居た。


「きゃあぁ~!!!!」


春紀君の目から涙が溢れ、私は周りの女性達を考え

春紀君にその場を任せた心がとても痛む。


「佑弥!!!」


春紀君が地面に倒れている佑弥君の姿に駆け寄り

佑弥君の身体を起こし


「佑弥?」


佑弥君は意識を取り戻し私は先に春紀君の部屋の前に行く為

その場を去った。


君の後ろ姿を私はただ見送るしか無かった。



















































































































































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