新たな学園生活

学園の寮の前に馬車が止まり、みんな降りるとパッと消え。

佑弥君と春紀君と友松さんはタクシーが来ていて乗り込み恐らくお仕事に。

大季君は、かりんちゃんを何処かに預けて来たのか

一人だった。


「大季君かりんちゃんはどうしたの?」


大季君は、私の方を見ると近づき。


「かりんは、しばらく王様の所に帰したので、危険が及ぶと困るから」


「危険?闇の人魚はかりんさんと同化して」


「まだかりんを呪いの闇に変えた原因が何かわからないから、

本当の真の闇を、探し出して終わらせないと」


そう言い残し大季君も寮に戻る。


私は部屋に戻り疲れたのでパジャマに着替え寝た。

翌朝学園の生徒はまだ戻って来ないので、どうしようか考え。

大季君の部屋に向かう、帰りがかなり遅かったかも知れないけど。

部屋をノックするが、出掛けて居るのか部屋に居なかった。



「姉ちゃん又会ったな!一人?俺達ど何処かに行こうよぉー」


二人の男性は確か春紀君を裏庭で襲おうとし、

佑弥君を怪我させた二人組。



「何だよいいじゃん行こうよっ」


私を壁側に強引に肩を両手で押さえ付けられ二人に囲まれ。


「ねぇ!何やってるの?そこで!」


学園の生徒は人魚姫の館に参加する生徒以外は、


家に一時的に危険をさっちしたかのように帰宅させらせて居たはずで、

この二人の男性が居る事もおかしい。


「なんだぁーてめぇー」


男性二人驚く姿が見えた。

白い子犬が二人に襲い掛かり突進したり、噛みついている


バシッ、ドカッ


男性一人は血相を変えて逃げて行く。一人は気絶し倒れ。


「ねぇっ!忘れてるよ?一人」


と言われ一人が戻ってきて、気絶した男性を抱き抱え逃げて行った。


「だっっ大丈夫お姉ちゃん?怪我してない?」


怪我をし入院して居たはずの湧麻君が戻って来た。

手には白い子犬を抱き抱えご褒美様か分からないけど餌を貰って喜んでいる。


「もう怪我は大丈夫なの?」


「うんっ、全然たいした事は無いよ?


それにみゅうなさんが何度も連絡くれて居たから

もう退院した事知ってるよね?

それより何かあったの?学園に戻って来ても誰も居なくて、

ご飯も出して貰えなくてお腹減って学園の外に買い物行って戻って来た所、

これから一緒にBBQしない?」


「それなら佑弥君や春紀君も誘おうかな昨日の夜に帰って来たから、

学園の生徒は人魚姫の館に行って戻って来るのは明日の夜でそれ以外は帰宅して居るから学園で起きるおかしな現象を解析する為だけど」


私は湧麻君に人魚姫の館で起きた闇の人魚姫の事を話した。

涼君が魂を司る王子である事は言え無かったけど。


「っつて事は涼って人は今は居ないんだね!」


涼君と性格の玉を取る事で喧嘩して以来この二人は仲が悪い、

仲良くなって貰えたらいいのに。


「僕これ食べたい!」


春紀君はお肉を手に持ち野菜を鉄板の上で焼く。湧麻君も食材のウインナーや野菜にお肉を持って来て居たけど、佑弥君も食材を冷蔵庫から

出してか持って来てくれて食べきれるかわからない。


「春紀それマシュマロだよね。お菓子焼いてどうするの?」


「佑弥知らないの?マシュマロ溶かすとおいしいの

このチョコが中で溶けて、食パンの上に乗せて食べてもおいしいんだぁ」


鉄の串にマシュマロをいくつも突き刺し宙に浮かせ転がす。


「もうお腹ぺこぺこだよ!」


「ねっねえっ菜月ちゃんこの人とどこで知りあったの?」


春紀君が佑弥君の気を利かせてか機嫌が悪い事に気づいてか

私に、湧麻君の事を聞いてきた。


「シュミレーションイベントで一緒のグループになった

湧麻君、でも、人魚姫の起こした地震で倒れてきた木の下敷きになるのを見て私を助けてくれたの、今迄入院して居て申し訳無い事を」


「きっ気にしなくていいからねお姉ちゃん、菜月さんが悪い訳じゃないんだから、その人魚姫も何かに操られて居たんだよね?しかも亡くなられて、

大季って人と双子の涼君とそっくりなら、僕間違えるかもしれないけど」


両手で頭の後頭部に手を回し、混乱して居る焦った表情を浮かべている。

私と湧麻君の二人で喋る姿を佑弥君が見て、どこか少し寂しそうに見えた。


「涼君は髪上げたり眼鏡して居るから、間違えるのは無いと思うけどでも、

二人が双子なのを隠して居てもあそこ迄似ていたら、

生徒の中に気づかない人が居ても変なのかも」


春紀君は焼き上がったお肉をほおばりむしゃむしゃ。


「うわぁーそれ僕が焼いたの!食ベ無いでよぉー」


「あはっ早い物勝ちでしょ食べた方がだって焦げたらおいしくないから」


春紀君の紙のお皿に山盛りのお肉と野菜、串に刺された

マシュマロが。


「僕もお腹減ってるんだから、僕の迄取らないでよぉー」


湧麻君もお皿に野菜とお肉を乗せ、タレを上から掛け口の中にほおばる。


「おいしすぎるぅ、あっシロッ!」


子犬のシロは湧麻君のお皿のお肉に飛びつき、欲しがっている。


「湧麻、一人でずるいよ、僕にも頂戴」


しっぽを振り振りしながら、湧麻君に喋りかける。

「ほらっいっぱいあるから、沢山食べていいよ」


佑弥君も春紀君も、子犬に喋りかける湧麻君に


びっくり、もちろん私も。


「湧麻君、犬に喋りかけるんだねっ」


春紀君は、少し苦笑いしながら湧麻君に、話しかけた。


「うんっ僕動物と喋れるから、この学園の性格の玉を手に入れて見つけたんだけど、聖霊に使わずに自分に使ったら分かるようになったんだけど」


「私も回復させる能力を得たけど、もしかすると

それと、同じような事なのかな?」


「そうなんだ!いいなぁー僕も欲しいなぁーその能力」


佑弥君はひたすら野菜やウインナーやお肉を網の上に

並べては少しだけ食べている。

私も焼けた物から手を伸ばし食べる。


「マシュマロおいしい!、これならいくらでも食べれる」


春紀君は、湧麻君の食欲にびっくり、春紀君もかなりの食欲があるが、

湧麻君はその倍は食べ尽くしてまだ食べ続けて食材は、無くなる。

「僕少し食べ過ぎたかも、お昼の分もう無さそう僕お昼いらないかも」


春紀君は、お腹をさすりながら残りの湧麻君の紙のお皿に乗った

山盛りの野菜や肉を見て言う。

私が鉄板に焼きそばと切っておいたキャベツにタマネギ、

にんじんを鉄板で作る、いいにおいがただよい。


「それお昼用?」


「うっうんお腹空いたら食べてね?パックに詰めておくから」


「僕のもっと、いっぱいパックに入れて」


目を輝かせ、覗き込む様に焼きそばに食い入る春紀君。


「お腹いっぱいじゃ無かったのぉ?僕のも山盛りでお願い夜何にしよう?」


今食べたばかりなのに、二人とも少し似ている。


佑弥君は片付けゴミを集め、バケツに水を入れて来てくれて気を回してくれた。


「焼きそば出来たから、パックに詰めて」


「うん!おいしそぉー」


「うわぁーい、佑弥の分も僕が入れるぅ」


バコット


っと佑弥君に春紀君が軽く頭を叩かれ、顔を歪め不機嫌に

佑弥君はお礼を言うと自分でパックに詰め、

鞄の中に入れ黙々と片付けをする。

春紀君がこれでもか位にパックにぎゅうぎゅうに詰めて、

輪ゴムを止められないくらいに山盛りに

沢山作ったから大季君の分もパックに詰め、片付けをした。


「飲み物もここにあるから」


「貰うねぇー何にしようかなぁー」


袋の中からジュースを出し春紀君は飲む。


「お姉ちゃん、片付け僕も手伝うから、飲み物飲んで?

喉渇いたでしょぉ?」


湧麻君は熱くなった鉄板を上から水をかけ

冷やすと上からぞうきんで拭き綺麗にしてくれた。


「お腹もいっぱいになったから、部屋に戻るね」


湧麻君は一人部屋に戻る。


ぐらっぐらっ地面が揺れ、春紀君が私の方に走って

恐怖を感じたのか右腕にぎゅっと両手で捕まる。


「んっぁあれ?」


学園の真上に真っ黒い雲が現れ、急に強烈な雨と雷。

佑弥君が学ランを脱ぎ私の頭の上からかぶせ私が濡れないように覆い

ギュッと抱きしめて一緒に学園の中に避難したけど下半身はびしょびしょに。


「まだ人魚居るって事なのかなぁー?」


春紀君が心配そうにして居る。


「菜月!大季君中央の館の二階の多目的ホールで感じたよ?」


ニーナに言われ、三人で向かう。中央の館の二階の一番奥に辿り着き

ドアを開けると大季君が倒れて居た。

目を開けこっちを見ると。

   

『“学園の生徒に告ぐ


学園に危害を加えたのは、紛れまぎれもなく

水島大季、学園の生徒で、水島大季と付き合った人は不幸になるに違いない”』

「これって何処どこで手に入れたの?」


“ざわざわ”


“ざわざわ”


なぜか騒がしい男子の声が、廊下に響いている。

学園の生徒はまだ帰って来ていないと思って居たが

人魚の館に学園の生徒が全員行ったわけでは無いことを

思い出した。



私が大季君に近寄ろうとした瞬間、左腕を掴まれ

その瞬間手を引っ張られた。


引っ張ったのは。


「ゆっ佑弥君」



佑弥君は周りの様子を伺い背を少し低め隠れるような

態勢を取り私の口を手で覆う。


「今は近寄らないほうがいいです。

大季君探しに行ったって聞いて追いかけて来てごめん」


私の行動は見透かされたかの様に、佑弥君に口を手でふさがれうなづく。


「大季君なら大丈夫僕の部屋に一時的に避難させるから」


大季君の事を心配して居たのは、私だけでは無かったかの

様な言葉。


私は、生徒達の言葉に耳を傾けてみたったくっ

何なんだっこの騒ぎ」


「知らないのかっ?大季って人が、この階に住んでる

事が気に入らないとかで学園の生徒で、

この階から追い出そうとか計画した人が居て」


「大季?あぁ~何でも人魚の呪いを

起こさせたって言うけど、噂ではもう人魚やっつけたって話で、

確か終わってる話だよなっ?

聖霊から聞いたぜそれ」



「でも、誰の仕業何だろうなっまだこの学園に

災いが起きてるって話もあるけど」


学園の男子寮の廊下では、

大季君の噂が飛びかい騒ぎになっていた。


「大季君気の毒命懸けで学園の生徒を守ろうとして

酷い傷まで負って、学園の生徒のみんなは

噂で持ちきりで」


佑弥君は大季君の事をちゃんと理解し

状況を把握はあくし様子を伺って居るように思えた。


「佑弥君は大丈夫なの?大季君を」


佑弥君は私の言葉に、“しぃ~”っと人差し指を立て。


佑弥君は大季君を背負うと近くの部屋に移動したので

私は佑弥君についていった。


「さっ中に入って」


っと、ドアを引き止め私を先に部屋の中に入れてくれた。


“バタン”


ドアを閉めると、奥の部屋の中から春紀君が走って

来る姿が。


“バタバタ”


「あはっ!菜月さんまた会ったねっ僕会えて嬉しいよっ」


手には私が縫ってあげた、くまのぬいぐるみを持っている。


「さぁ~上がって上がって」


春紀君に手を引かれ私は、春紀君の部屋に。

春紀君の部屋は、ぬいぐるみが沢山置かれていて、

青い本棚や、青いカ‐テンが、

男子の部屋はどの部屋も青一色みたい。


春紀君の青いベッドの上には、佑弥君が大季君を

横たわらせたのか横になっていた。


「大季君」


横向きに、身体を傾けていた大季君がぴくりと動き、

目を見開き私の方を向く。


「くつっ」


顔に真新しい青いあざが出来誰かに殴られた跡が。


「うぅ~」


真横に居た春紀君がふてくされた様に、

嫉妬したのか顔が歪む。


じぃ~っと視線が私に向けられたと思ったら

佑弥君が、春紀君の肩をグイっと掴み部屋から出ていく。


「ちっちょっと~佑弥何するの」


ふてくされ顔がさらに歪む。


「今は二人だけにしてあげて」


佑弥君と春紀君は私と大季君を残しどこかに行ってしまう。

「佑弥君?」


“バタン”


「ごめん、また心配かけてでももう僕と関わらないほうが」


大季君の暗い表情入るも与えてはくれないそんな気がした。


「前から言わなかったけどどうして

全て大季君は1人で背負うの?

大季君は何も悪くなんて無いじゃない」


大季君は唖然あぜんとし、下をうつむく。


「ごめんでももう会わない方が僕に会えば君に迷惑がかる」


「迷惑掛けてくれたほうがいいよっ」


大季君はうつむいたまま動かない。


大季君に近づきベッドの横に座る。


「これ以上は迷惑掛けたくない僕は」


大季君の目から、涙が溢れ抱え込む姿が、

痛いほ心に突き刺さる。


「一緒に抱えてあげる学園に居る人は知らないだけでも私は、

何があっても大季君の味方だよっ」

大季君は、首を振り拒むこばむ


“ドンドン”


佑弥君と春紀君の部屋の玄関のドアを誰かが叩く音が

かなりの強めで恐怖を感じた。

私が気になり部屋を出ると佑弥君が玄関に近寄り、

ドアを用心しながらドアの外をのぞき穴から見る。


佑弥君は確認後にドアを開ける。


“ドン”



“ドスドス”

誰が入って来たのか確認せず春紀君の部屋に私が戻ると

廊下から近づく音に、大季君が少し震えだす。


“ガチャ”


ドアノブに手が掛かり

ドアが開くとそこに居たのは、リョウ君。


「菜月さん」


そこに居たのは涼君。


でも、大季君はなぜか身体がガタガタ震えだし、

かなり恐怖に怯えている。


「大季?どうしたんですか?部屋にも戻って来ないなんて

ここに居たら迷惑になります。部屋に戻りますよ」


涼君が君が大季君に手を伸ばすと、大季君はそれを拒む。


「大季、学園の生徒は撒きましたですから

戻りましょう」


大季君の震え方は、尋常じんじょうでは無かった。


涼君は、大季君が震えだすのを見て大季君の顔に手を近付け

顔を近付けてまじまじと見る。


「?大季この顔の傷、以前は無かったはずですが

どうしたんですか?」




大季君は涼君を避ける様に無言でベッドから降りると

ドアを開け手で壁をつたい歩きだし、玄関に向かう。


涼君は、同時に玄関に向かい大季君の後を追う。


“ギィ‐”っと、

ドアを開け大季君と涼君が出ていった。


「あの二人気のせいかわからないけど、

何か様子がおかしくない?特に涼君」


玄関のドアの手前に居る佑弥君の目には、何か違和感を

感じたのか変なことを言い始めた。



『とにかく二人を追い掛けないと』


私が玄関から外に出ると涼君と大季君で

言い争いになっていた。


部屋の中では、防音なので外の声が聞こえないのもあって、

聞き取れなかった。


「くっ」


涼君に、壁に両手で肩を押し付けられ、

背中に痛みが走り顔を歪めている大季君の姿。


「どうして迷惑な行動を取るんですか?」


私が廊下を出て、涼君と大季君の隣に駆け寄る

涼君は、両手を肩から離し大季君から離れ。


「悪かった状況もわきまえず怒鳴ったりして。

戻りたくなければ勝手にしたらいい、

僕は一人で行きますから」


そう言い残し涼君は去っていった。


「大季君」


全身の力が抜け倒れそうになり壁にもたり掛かり

何かを耐えきれずにか大季君は、頭を壁に押し付け。

右の握りこぶしを壁に少し打ち付けた。


「私の部屋に来て」


大季君は目を丸くし、困った表情をした。


初めは、戸惑ってうんとは言ってくれなかったけど、

他の生徒に見つかれば何されるかわからないので、

そこに長居せず、私の部屋に。



かなり激しい痛みに限界が来たのか

“女子寮”の私とかのんさんの

部屋の前の玄関に倒れこみ壁にぶつかる。


「だっ大丈夫!?大季君」


「うぅ」


意識がもうろうしているのか、

少しふらふらしその場に座り込む。頭を右手で覆いながら。


かのんさんが、丁度人魚姫の館から帰って来たのか

玄関前に倒れこむ大季君を見てびっくり。


「あっあのぉこの方は」


かのんさんは、始めて見る大季君の姿にびっくりしていたけど、

こころよくかのんさんは私の部屋では無く


“リビングのソファー”にとも言ってくれたけど、

私の部屋に一緒に移動して貰いベッドに横になって貰った。


「大季君…涼君と何があったの?」


大季君は、重い口を開き呪われた人魚の時と同じように変わってしまい、

自分に襲いかかって来たことを伝えてきた。


「さっき迄一緒にバーベキューしていたのに涼君の中に敵がって事?」


大季君は少し息が荒くなり大量の汗がふき出ていた。


「大季君?僕は兄さんを救わないとっ」


身体が、痛いのかうつ伏せになり、胸の辺りの身体を押さえる。


大季君が着ているYシャツのボタンがはだけたのか

肌の下は無数の傷に加えて、明らかに新しく出来た、

青いあざがかすかに見えた。


「兄さんを助けなくては」



大季君の身体を触ると、身体が熱い。


「熱があるの?ダメだよっ無理したら!」


起き上がろうとした大季君を止める。


「でも僕が兄さんを助けないと、また学園の生徒に

被害が」


“ゴロゴロ…”


激しい雨が降りだし、

朝より強い風が窓ガラスに吹き付けて居る。


「強い風」


大季君は隙を見てベッドから降りようとして居た。

大季君の右腕を掴むと、力尽きたかのようにベッドからずり落ちてしまった。


“ドンッ”


大季君が仰向けに倒れこみ、その勢いで私は

地面に押し倒され大季君の上に覆いかぶさる形に。



“ゴロゴロ…ドン…”


いたずらなのか…

学園の電気が一気に消え

真っ暗になる。


大季君は身動き出来ないのか、じっとしたまま。


私は暗やみの中

心臓の辺りがギュと締め付けられ、高鳴る。


「菜月さんだっ大丈夫ですかっ?」


大季君を両手で引き寄せると腰の辺りに手を回し

ぎゅっと抱きしめた。


「くつっ」


暗やみの中で、かすかに大季君の体内温度がさらに

熱くなるのを感じとった。


大季君は、少し荒い呼吸をしながらじっとしている。

パカッパカッと、電気が点滅し、パッと電気が着いた。


大季君は上下に肩を動かしながら

荒い息をしていた。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


顔が赤くなり、

息が苦しそうに息が上がり身体から汗が吹き出す。


「だっ大季君?大丈夫?」


大季君の呼吸の早さが、上がり何かを言いたそうに

伝えて居る。


「いっ…息が…はぁはぁ」

「何?…」


「出来無い…くっ苦しい…はぁ…はぁ…」


大季君の顔が段々青ざめ、呼吸が乱れ始める。


「…息が…って」


私は、辺りを見回し

学園の各部屋に備えられていた、呼吸器を取出し、

大季君の口に充て。


スイッチを入れると

“シュ‐”っと音をたて…大季君の呼吸が戻り始める…。



「汗が…凄いよっ…何か着替えさせないと」


私は立ち上がり、大きめの着替えが無いか探す。


学園に用意されている物の中に男性用の、

シャツがあったのでタオルとシャツを持ち大季君に。


大季君は、疲れたのか寝息をたて寝てしまっていた。


大季君のシャツをめくり



身体を拭く。

熱で身体が多少熱い、


シャツの下に隠れていた痛々しい傷が

生々なまなましく残って居る。

学園の救急箱から出し傷薬を、肌に塗り少し肌が白くなる。


「…背中にも塗っておいた方が…」


私は、大季君の身体を壁側に押し倒すと

青いあざが無数に渡りついていた。


「菜月さんっつ」


呼吸器で声が小さく聞こえる。


「ごっごめんねっ…傷が凄いからつい…」


私は、傷口にクリームを少し塗りかすかに身体を前に倒し

うつ伏せにさせる。


痛みをこらえて居るのか少し震えている。


数日経過し大季君の身体の傷も回復し、

いつもの様に朝ごはんを用意し、大季君の元に。



「一緒に来て貰えませんか?僕が以前迄住んでいた

父の元に実際にはあの世になりますが」


大季君は、ここで何があったのか話ってくれた。

涼君は一度ここに来たみたいだけど急に頭を押さえて、

逃げる様に言ったみたい。

寮の部屋に居た時もたまに体調が悪くなり頭を押さえて

気を失う事がたびたびで。涼君に急に襲われて混乱していた事も。

涼君では無くなる事があったみたいで。

近づかないように言って来たり、急に襲いかかって来たことも。


私と佑弥君と春紀君と大季君で二人の父親の居る城に通じる

通路を使いあの世に移動した。上空に浮かぶ城は、

本来であれば亡くなった死者が集まるが、

今日は亡くなられた人の気配が無く

警備も居ない、いつもなら警備が居るはずみたいだけど、

お城の中に涼君が捕らえられている居る可能性が高い。


「ここから中へ地下から上の階に行ける抜け道です」


お城のガーデニングの部屋に地下への階段があり地下一階に行くと、

自然に灯りが着き、人に反応してか居なくなると消えた。

奥に進むと扉があり扉を開けて中に入ると、左右の道

大季君は、ぽんたを呼び出し。


「一階の大広間にとてつもなく恐怖を感じますが、

二階にかりんちゃんが捕まって居るコン助けてあげた方がいい

コンけどどうするかは、決めるコン!」


「かりんは危ないから、闇を退治した方がいい」


大季君の右手を掴み私は二階の階段に進める。


「待ってかりんちゃんの命の方が大事だから助けに行こう?」


大季君は二階の部屋に行き、普通にベットで寝ている姿を見て。


「かりん」


かりんちゃんは起き上がり目を擦り大季君を見つけるとぎゅっと抱きしめた。


特に何かをされた様子は無い、かりんちゃんを連れ一階に移動。


一階の大広間のドアを開く。


ギィーッ。


扉が開くと涼君が剣を持ち大季君の方に剣を向ける。


「まさかここに来るとは何もしなければこのものの

どちらかは助かって居たかも知れないのに」


明らかに、声は女の人の声涼君は操られて居たのは確か。

狐のぽんたを呼び、くるっと一回転し剣に化ける。


「待って!駄目だよ涼君と剣を使い戦うなんて!」


「涼お兄ちゃん、ダメっ」


一瞬かりんちゃんの声に動きを止めたが、

大季君は何も言わず剣を取り、涼君に向けた。

涼君も大季君に剣を向け。


「やあああああああぁ!」


涼君の方から大季君に向けて、剣を振りかざし突進。


カキーンカキーン


剣と剣がぶつかり合い、どちらも本気で一騎打ち。

このままではどちらかが倒れる迄続きそうな予感が。

かりんちゃんは私の傍に隠れて居る。

春紀君も佑弥君もただ二人を見たまま。


「菜月さんここは二人に任せて、行きましょう!」


佑弥君は二人を戦わせたまま置きざりに。

奥に進と部屋には巨大な真っ黒い水晶が現れバリンっと割れると中から小さな闇の聖霊が姿を現し一気に大きくなる。


「関わらなければ死ぬ事も無かったのに残念!これでもくらいなさい」


手から糸の様な物を出し、一瞬にして身体が動けなくなる。


「何っ!これっくっ苦しい」


バリバリ

っとまるで静電気が身体に流れ、強くなる。


「うわあああああぁ!」


身体がしびれ電流で意識を失いそうに。

カキーンザクッ。

糸が切れ、湧麻君と理久君の姿が。


「理久君が僕の部屋の前に居たから連れてきた。

僕の聖霊アグリに案内されて来てみたけど」


「お久しぶりです」


理久君の聖霊ルシアと湧麻君のアグリが剣に化け。

四人で剣を構える。


「ふんっ何人居ようと私の敵ではない」


糸が再び身体に巻き付き、一気に意識を失う。


真っ暗い中に一筋の光が見え、声が聞こえた。

遠い記憶何かの手を取り何処かの草原が見える、

小さい頃の記憶がたびたび見えて居たけど、

木の傍で遊ぶ少年と私仲良く隣同士で遊んでは帰る日々、

確かに私の幼い記憶、只この少年は誰かに似ていると確信。

私にはいつの間にか幼い頃の記憶が抜け落ち、思い出せずに居た。

外は雨が降り出し木の下で雨宿り。


「もっと聞かせて」


少年の手にはハーモニカ。


「僕下手だから、もっと上手くなってから聴かせてあげる」


「わかった約束ね」


ゴオオオオオオ


何処からか聞こえる音、耳元で聞こえると。


「菜月ちゃん危ない!」


の声、少年が何か危険を知らせる声。

何かの木に雷が落ち倒れてくる記憶。


「菜月ちゃん!」


暗い闇の中から、何処から共無く声が聞こえ目を覚ますと、

そこには佑弥君の姿が。ふらふらしながら、全身傷だらけの。


「ゆっ佑弥!」


春紀君、湧麻君、理久君の糸が切れ、

佑弥君の周りに集まって四人で再び剣を構える。

さっきのあの少年、佑弥生君に似ていた。

佑弥君が話してくれた、思い出のハーモニカ彼女から貰ったって。

あれは佑弥君だった。でもどうしてあの時の大事な記憶を

忘れて居たのか、今考えたら、

木が倒れてきていつの間にか幼い頃の記憶を失っていた事に。

佑弥君は知っていて隠して居たのはなぜ?


「そんなに死にたいのかい?」


佑弥君は私の前に立ち守る様に剣を構え。


「佑弥君私、佑弥君と前に」


「菜月さん!」


真横にいつの間にか立っていたかりんちゃんが黄色く光り、

まるで人魚姫のかりんさんが居るみたい。


「んっ!?身体が動かないなっ何をした?」


大きな怒りが身体にとてつもない痛みがみんなに走る。


「うわあああああ」


みんなが剣を手から離し、床に倒れ込む。

私も痛みに耐えきれず床に倒れ込む

佑弥君は、必死に立ち上がり剣を持つと闇になった聖霊の元に。


「ゆっ佑弥!危ない!」


闇の聖霊の身体からいくつもの尖った真っ黒い氷の氷河が

佑弥君目がけて飛んでいく。


佑弥君は両手を上に挙げ氷河の飛ぶのを知りながらも聖霊の闇に突進。


「やぁああああっー」


「佑弥!駄目!」


私の声が聞こえて居るのか聞こえて居ないのか氷河の刃が

身体に真っ黒い氷河が突き刺さり佑弥君は。


ドサッ


と倒れ紫色の光りに包まれ、僅かに動いていて、意識はある様に見える。

その瞬間グサッと音と共に後ろから現れた涼君が闇の聖霊に斬りかかった。

そのタイミングで春紀君、湧麻君、理久君が起き上がり斬りかかり、 

すかさず涼君がどどめを刺した。


「こんなはずは!うああああああああっ」


シュッと大きくなった聖霊の闇は瞬く間に消え、

かりんちゃんは倒れる間際大季君に抱き抱えられる。

涼君は何かに操られて居たのか、


かりんちゃんが放った光により呪いが消え、完全に消滅。


「ねぇっ!いいかげんにしてよ!

俺の学園生活、約半年とちょっとが人魚関係で狂って来ている時に」


湧麻君が涼君の居る場所に駆け寄り、文句を向けて居る。


「佑弥ああああぁ!」


春紀君は怪我を負った佑弥君を支え、心配そうにしている。


「結果的にはご迷惑をおかけしてすみません、

僕はこの学園に居る事は出来ません


闇の原因について解明出来、学園に結果的にご迷惑かけてしまいました


僕は学園で恋愛をするつもりで入学したわけではありませんでした。

これで会う事はありませんが、

残り少ない日々を楽しんで下さい、

弟も一緒にこれからは二人でこの国を又父と建て直します

それに、死者をあの世に送る王子もまだ見つける事も出来てませんが、

何処に行ったのかもわからず、探さなくては」


「救うだけ救ってそれで終わり?それって解決になって無いよね?」


「くっ」


涼君は湧麻君の方を見ながら唖然としながら驚く。湧麻君は背を向け。


「結果的に言えば、学園はもう安全な場所にはなった、

けど僕は君が居ない学園生活って言うのはその、

ライバルが居なくなるって言うかぁー、

その戻って来た方が張り合いがあるっていうか

その、死者の魂を送り届ける王子ももしかしたら

学園に居るかも知れないよね?」


「怒るべきでは無いんですかこんな酷い事をした僕たち二人に半年も台無しにしてしまい、ですがやるべき事が済みましたら又学園に戻ります。

言われた通り学園に他の王子が居るかも知れませんし、

これでいいですよね?」


「ねっねぇ!佑弥がさっきから動かないんだけど」


春紀君に抱き抱えられ支えられていた佑弥君の傍に行くと、

みんながぞろぞろ周を囲う様に集まる。


「闇の聖霊の呪いかも知れませんね、紫色の光りに包まれて居る様ですし、

以前同じような症状に、

大季の相手の妖精に同じ様にかかり、

闇の世界から救い出せたのですが下手をしたらこの世に戻る事が出来なく、

または」


涼君は、かなり深刻な表情をしながら、解決方法を教えてくれた。


「様は、佑弥君の意識の中に入り込んで、助け出せばいいって事なんだ、取りあえず、学園に戻ろう」


大季君は、佑弥君を抱き抱え学園の佑弥君の部屋迄運んだ。


しばらくの間、涼君と大季君とかりんちゃんが、

学園から居なくなり平穏な学園生活が戻る

学園に被害があった事をまるで学園の生徒は覚えて居ない。


九月になり、三人が戻って来た時には、

大季君の記憶がみんなから消えたかの様に大季君を攻撃する生徒が消えた。


「お帰りなさいです」


あれから一ヶ月月日は流れ、最後のお試し期間満了の

十月、佑弥君は目を覚まさないまま。

いつもの様に部屋に戻ると、みゅうなさん、ミチルさん、

かのんさんが出迎え私は、キッチンに招かれた。

テーブルには豪華な料理が並べられ待ちわびて

居たかの様に、椅子に座る。


「ねっ何があったのか話してくれるよね又?涼君の事、

あの似ていた男性の事」


みゅうなさんに誘われるまま、今迄起きた事を少しずつ話し

して居る最中。

みゅうなさんは闇の人魚が消えてから湧麻君と付き合い始め

佑弥君の事で攻撃する事も無くなる。

理久君は完全に学園に戻ってきて

かのんさんはここ最近とてつもなく嬉しそう。

かのんさんが理久君を好きな気持ちは分かっていたけど、


理久君は最近かのんさんとイベントに出掛けているみたい。。

でも、あの熱を出してから、かのんさんが理久君とやりとりをして居た事は

驚いた、ゲームの世界と向こうの世界でやりとりしていた事になる訳だから。


理久君はかのんさんの事を好きなのかどうかは分からないけど、上手く行けばいいと応援したいと思えた。


ミチルさんは涼君と仲がいい事は確かなんだけどどうなっているかは余り話してくれず。


私は佑弥君の事が解決出来ず、確かめたい事が残ったまま。

気持ち的に、春紀君か佑弥君か決められてない居ない。


「佑弥君の事が心配よね、呪いに掛けられているのを解かないと私に出来る事があれば何でも言ってね

って言っても私に出来る事は限られているかも知れないけど」


みゅうなさんは、私の事を心配してここ最近毎日顔を出し励まして貰っている、今度は私が湧麻君とみゅうなさんに何か出来たらいいのにと。


過去の記憶の中に確かめたい事もなぜ佑弥君は今まで黙って

居たのか、教えてくれていたらこんなに悩むことも無かったのに。


「ごめんね長居したら悪いから、そろそろおいとまするね」


みゅうなさんは、ミチルさんと自分の部屋に戻って行った。


「あっあのっ菜月さん、私理久君とこの学園を出ようと思って居るです。

後、私はお試し体験参加なので、今月で最後になるです。

理久君の実家は、小さな子供を預かる施設なのですが、

お手伝いしようと思える様になったので」


理久君とかのんさんは、少しずつ連絡を取り合い仲良くなった事を知った。

もし時計台で倒れた時理久君の気持ちに気づき、

答えて居たらもしかしたら変わって居たのかも知れない、

人生は日々選択であの時こうしていたらと、考えても後の祭りで。

今の私の中には、目を覚まさない佑弥君から聞きたい事も。


「かのんさん理久君と居て、幸せそうで良かった。戻って来て貰えて良かったけど施設で素敵な時間過ごせるように祈っているから」


かのんさんは、顔が真っ赤になり。


「あっありがとうです。そう言って頂けてとても嬉しいです

ゆっ佑弥君が無事に目を覚まされる様にお祈りしていますですぅ」


翌朝早朝の五時にメールが届く呼び出しの音が耳に入り、

目が覚め、内容をチェック半分は夢の中のうとうとした中に飛び込む内容。

ダブルベットから飛び起き、すぐさま着替え部屋を出る。

部屋から一目散に、男子寮に向かう向かった先は、春紀君と佑弥君の部屋。


「菜月さん佑弥の様子が前より悪化して大変なんだよ!

直ぐに来て僕どうしたらいいか分からないんだぁ!」


何処かでは佑弥君に聞きたい思いを抱えながら。でも佑弥君の部屋に着く頃には

その思いを打ち砕くような変貌した様子に、自分の予想を上回る苦しみを

抱える事に。春紀君は佑弥君のダブルベットの隣で佑弥君の左手を両手で強く握りしめさまよい続ける佑弥君の姿を、

どうすれば助けられるのか聖霊と会話して苦し喘ぐ佑弥君の様子を見守る姿。


「ごっごめんね勝手に上がって」


「なっ菜月ちゃんううっ」


春紀君は相変わらず元気な張りのある声は聞けず少しずつ

声がかすれ気味、相当疲れ果て、

一人で仕事をこなし肉体的にも精神的にも影響が出始めている様子も。


「春紀君声大丈夫?」


「僕が菜月ちゃんと一緒に居たかったのにどうして祐弥ばかりそれに、最近おかしいんだ僕達を応援してくれて居る人が減って来てて、

イベントやライブに来てくれる人が減ったり、

菜月ちゃんこのままだと僕と祐弥でのお仕事を

増やすしか無くなるかも知れないんだぁ、

祐弥がこの状態だから僕が頑張るしか無いけど」


春紀君が一人で抱えて居る悩み今迄気づく事が無かった悩みがこんな近くに関わって居たなんて今の私の中ではそんなに大きな事だとは思ってもみなかった。


ガチャ


っと佑弥君の部屋のドアが開き友松さんの姿が。

「あっごめんね?邪魔してしまいましたか?

買い出しに行きますので春紀少しだけお借りしていいですか?

荷物持つの手伝って頂きたいのですが、その代わり今日はオフに

しますので」




「オッオフッやったぁ~!はっはいっ、

ぼっ僕マネージャー手伝って来るから、

佑弥の事お願いねっ菜月ちゃん」


スルッと立ち上がるとふらふら佑弥君の部屋を二人が出て行く。


ギィーバタン


玄関のドアが開き閉まる音が聞こえた。


「菜月、佑弥を助けて!」


佑弥君の聖霊カムイがひゅーっと姿を現し、さっき迄居た

春紀君の聖霊ハヤテは春紀君に着いて行き居なくなっていた。


「カムイ!何言って居るかわかって言ってるの?」


私の真上にニーナがパッと姿を現しカムイの方に、

呆れた顔をしながぐいっと顔を近づける、

佑弥君の聖霊カムイとニーナ

見た目は似ているが性格はニーナの方が怖い性格、

押され気味のカムイはびびり顔。


「危険な事をさせて迄佑弥を助ける様に言う事事態おかしいと思わない?

精神的な場所に入り意識を向ける事で、万が一戻れなくなったらどうするの?

涼って人の弟の大季君の結婚相手を助ける為に大季君が入って助けたのは聞いたけど、その相手の方はその後

長く持たなかったんでしょ」


「だけど、佑弥はどうなるの?このままなら力尽きて、

死ぬかも知れないんだよ?

助けれるのを見て居るだけなんて、嫌だよ」


ニーナとカムイは苦しみ喘ぐ佑弥君の傍に降り立つ。

うなされる佑弥君は、汗で額や全身から汗がにじみ出て居る。


「うっ菜月さん」


何がそこ迄苦しめて居るのかわからない、

このままでは危険な状態である事私の中には恐怖と言うより目の前で苦しむ

佑弥君の姿がつらい事。


「私が助ける!お願い私を佑弥君の意識の中に連れて行って」


「しょ正気なの?菜月を失うかもしれない、

でも菜月なら助ける事が出来るかも


一時間それ以上は意識の中に居る事は危険な時間みたいだから、

無理して迄連れ戻そうとしないこと、

約束出来るなら、意識の中に入れるように誘導してあげる」


「にっニーナ佑弥の為と言っても、春紀でさえ入れ無かったもあるよ?」


ニーナはカムイの方を睨み。


「さっきは助けて、次は入れるかの心配?助けるにはまずは試すしかない!

それとも、カムイが入る?佑弥を守る役目よねぇ?」


後ずさりして、私の真後ろに飛んで来るとひょこっと右肩から顔を出し、

ニーナの方を見返す。


「きっ昨日やったけど佑弥拒んで居るみたいで、

入れなかったんだよ春紀も一緒に、

春紀は号泣して何度も試すけどずっと拒まれて、

なだめる方が大変だったよ」


いじけモードのカムイ、羽をパタパタさせ疲れたのか私の右肩に座る。


「ムッそこっニーナの席!どきなさいよ!カムイ」


ニーナがもの凄い勢いで私の右肩に座るカムイを攻撃しようと、 

近づいたので、隙を見てニーナを右手で掴む。


「菜月何すんのこの手離しなさいよぉ!」


「喧嘩してる場合ではないはずだよ!

佑弥君を助けないと、

春紀君も佑弥君がお仕事に戻らないと、

春紀君も困るしみんなも」


「わっ分かってるわよぉそんな事、

その前に何で佑弥着替えさせずに汗だく?」


「着替えさせても、直ぐに汗かくから」


「えいっ!」


私の右手から瞬間的に姿を消し、佑弥君の頭の辺りに移動し

右手を振りかざした。

佑弥君の身体から汗が消え、着ていた服が新しいパジャマ姿に。


「その能力無いから出来ないの!戦う為の武器に化けるくらいしか、

着替えさせるだけで大変だったよ、

春紀は泣いてて手伝ってくれず」


「男性から産まれた聖霊には戦う能力しか無いのかしら?」


私は佑弥君を両手で抱き起こし、力なくぐったりして居る

佑弥君を引き寄せ、抱きしめる。


「ニーナ力を貸してこんなに苦しんでいる佑弥君を早く助けたいの」


「わっわかったわよっえいっ!」


ニーナのかけ声が聞こえ意識が一瞬で佑弥君の中に移動、

目の前に大きな渦が現れ、中に入ろうと試みる。

しかし、渦が邪魔をして前に進めず。


「だったらこれならどう!えいっ!」


カムイの声が聞こえ急に渦が逆回転シューッと目の前から渦が消えた。

その瞬間明るい光の道が出来進む。辺りは自然が現れ一匹の三毛猫が私の隣を、歩き着いてくる。


歩く度に猫は段々人の姿に変わり、猫耳に茶色い髪で子供の姿に変わる。


「お姉ちゃん来てくれたの?久しぶりだね!又会えて嬉しいよ」


ニコニコしながら、言葉を喋る猫耳を頭に着けた子供。


「私あなたに何処かで会った事があるの?」


間を置き、私の言葉に凹む子供。


「そぉっ覚えて居ないんだね、きっと思い出すよ大丈夫、

だけど寂しいな覚えていてくれないなんて、

まあいいかぁおねいちゃんこっちに来て?」


私は子供の後を着いて行くと、聖霊が現れ消えるとシャボンの中で、

大きなトラックを見つめ涙を流す男の子の姿。


私の夢の中に現れて居た男の子、恐らく佑弥君。




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