第30話 月曜日の収録現場から その3
「さぁ!それでは作品を見ていきましょう!」
「楽しみですね!一流の方がこれだけ一堂に会して華を活ける機会はそうそうありませんからね!」
芸能人の人達が終了した後、僕達は各々が用意された離れに移動して出されたお題に沿って華を活けることになった。
出されたお題は『夏から秋へ』というものだった。
「う〜ん、これは中々に……どうしようか?」
材料となる華的には問題はない。
後は構図なんだけど……イマイチピンとくる構図が浮かんでこない。
夏……秋……か。
畳に正座し目を瞑り思案する。
よしっ。
…………
そして制限時間が来た。
僕達は会場のほうに移動して審査をする流派の宗家の皆さんが各離れを見て回る形だ。
会場を囲む林にある離れは全部で9つあるが、その内ひとつは母さん専用なので実質は8つである。
宗家の皆さんとお付きの人達が会場を出て行く。
あ、鈴羽が死んだ顔してるや……大丈夫かな……
入れ違いに会場に入った僕達にアナウンサーの人がそれぞれインタビューをしてくる。
「まぁ俺くらいになるとどうってことないですかね」
「流石は櫻井家時期宗家ですね!素晴らしい作品を期待してます!」
「……別に問題ない」
「はい!水上流、初音さんでした!」
「勝ち負けより皆さんの作品を見て自分が成長出来ればそれが一番ですね」
「勝ち負けよりですか?」
「ええ、僕達はまだ若いですしまだまだ未熟ですからね」
「いやぁ人間が出来ていらっしゃる!花隈流時期宗家のコメントでした!」
こうして見るとなんて言っていいのか、個性的な面々が集まっていると思う。
櫻井家の秋一郎さんに水上の初音さん、花隈流の雪弥くんに黒岩の崇さん。
僕、八代流の勘九郎さんに……
「ふははは!この様な茶番など我には通用せぬわっ!ふははは!」
「…………」
「くひっくふふっ。マミたんに……むほっ!あちらに見えるはなんという美人さんか!むふふっパラダイスでござるなぁ!くふふっむふっ」
「…………」
危なそうな人が約2名。
これが今回の出演者か……うわぁ、僕めっちゃ普通だ。
待ち時間の間、インタビューを受けたり写真を撮られたりして査定が終わるのを待つ。
審査員は母さんを始めとした宗家8名と番組から茶道の先生とプロデューサーさんの合わせて10名。
それぞれ10点、計100点満点で査定をするといった具合だ。
「おや?どうやら査定のほうが終了したようです!」
「いやぁ楽しみですね!ドキドキしますね!」
宗家の皆さんがぞろぞろと会場に戻ってくる。
あはは、鈴羽が魚が死んだような目になってるや。
「では審査員の方々にご感想を伺ってみましょう!どうでしたか?長岡宗家」
「そうねぇ……全体的にレベルは高いのでちょっと難しかったかしらね。あ、あとすごく独創的な作品があって個人的には興味がありましたねぇ」
「おっとぉ!長岡宗家が興味を惹かれた作品があったそうです!いやぁ!気になりますね!」
「櫻井宗家はどうでしたでしょか?」
「ふむ、そうじゃのぅ。長岡が言うようにレベルは低くくはないのぅ。ただいくつかを除いては……似たり寄ったりじゃな」
「これは厳しいご意見だぁっ!ありがとうございました!」
う〜ん?独創的な作品って……何となく誰なのかが分かるような気がする。
まぁ今更仕方ないし……結果を待つだけかな。
「はいっ!どうやら結果が出揃ったようです!」
「それでは、結果発表に移りたいと思います!まずは……第5位から!」
こうして結果発表がされることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます