第52話:エピローグ2

 自分たちに異世界の記憶が有ると、思い出すのに違いは有ったが、アイザックもマギーもアメリアも・・・そしてウィルも、乙女ゲームで悪役令嬢として描かれ、悲惨な運命しか描かれて居ないアリスを救いたいと願い集まった。


 それぞれが持って居る知識を持ち寄って計画を立てて居る時に、ウィルの父親が話を信じ、協力すると申し出てくれた。


 有難かった・・・息子が異世界の知識を持って居て、ここが乙女ゲームと呼ばれる世界と酷似して居る等と聞かされて信じられる訳も無いのに信じて協力するとまで言ってくれた。


 だが不測の事態が起きてしまった。


 それがマデリーンの魅了魔法・・・この禁忌の魔法を行使して居ると理解できたのは、ウィルにマデリーンが魅了魔法を掛けようとしたからでは有った。


 それに気づいて居なければ防御できず、ウィルはアリスを断罪する側へと入って居たに違いなかった。


 ルーカスは転生者では無いが、マデリーンを信用する事など出来ず、魔法を掛けて来たら弾くように防御して居たからこそ掛かる事なくアリスを守る側に居る事が出来た。


「お母様の死は・・・避けられなかった・・・?」


「・・・残念だけどセレンティア家で起こる出来事は、俺たちが介入できる状態になかった」


 真相を知ってしまったアリス・・・これで嫌われても仕方ないと思いウィルは、2人の部屋として用意された部屋から1人、出て行こうとして居た。


「ウィル・・・わたくしを1人に・・・孤独ひとりにしないで下さいませ」


「ア・・・リ・・・ス?」


「例え・・・例えシナリオなる物を変更する為とは言え、ウィルが好きになって下さったのは演技では無いのでしょう?どうか・・・どうか・・・わたくしを孤独ひとりにしな・・・」


 アリスの言葉はウィルが抱きしめたから途切れてしまう。


「・・・俺を・・・許してくれるの?ヴァカスの婚約破棄を知って居たし、森に捨て置かれる事は予想外だったけど、それでも知って居たのに助ける事が遅くなった俺を許してくれると・・・」


「・・・・・・えぇ、マデリーンを断罪するには、それ以外に方法は無かったのでしょう?」


「ああ」


「ウィル・・・助けてくれて有難う。ヴァカスに婚約破棄され結婚相手に恵まれない筈の私を迎え入れてくれて嬉しい・・・」


 全てを知ってもアリスは変わらなかった。


 いや変わる事は無かったと言える。


 抱きしめて居た腕を緩めアリスを見下ろすウィル・・・自然と互いの唇が重なり深く甘く吐息が絡む。


 天蓋の掛かって居るベッドにウィルは誘って良いのだろうか、と不安ながらも手を引く。


 真っ赤に頬を染めながらもウィルの手を拒絶する事なく、きゅっ・・・と握るアリス。


 甘~い新婚初夜となったのは、言うまでも無い

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