紙とペンと「紙」と「ペン」（副題：宇宙戦艦ムサシ）

壮大な戦争恋愛ものです。

これは本当に4000字以内なのか？長編小説ではないのか？
と、途中から脳内が騒ぎ始めていたが、どうやられっきとした短編小説らしい。
リアリティ溢れる「歴史」をベースに、導かれるのは、たった1つの完璧で揺るぎのない結論。

「短編スペース・オペラ」、未知の可能性に出会えました。ありがとうございます。

一言で言うと、「面白い！」。

面白いと言ってしまうと、疑いを持ちたくなる気持ちもわかりますが、そんなことを言わずにさくっとたった４千文字、読んでみてください。

４千文字と言えば、長編で言うところの一話ですから！

パロディ？パロディなの？
……から始まり、「紙」と「ペン」についての成井さん独特の語り口でのSFパート。（こういうのは成井さんにしか書けないんじゃないかっていつも思います）、そしてまたパロディに収束していく……。

しかし、アニメのパロディのパート、皆さんのお年頃でご存知でしょうか？
そこだけがちょこっと心配……。

知ってる方なら楽しめますよ。
太鼓判、押しましょう！

　シリアスなSFかと思いきや、要所要所でパワーワードや往年のSFパロディが読者を襲うなど、油断できない作品。
　「副題：宇宙戦艦ムサシ」の意味が判明するくだりには、思わずニヤリとさせられました。

　壮大極まるスケールと誇大妄想のバカバカしさと創作への愛情あふれる傑作。波動砲を備えてワープしたりするのではない代わりにただ書いて伝えることだけを武器とし守り抜く為に戦う灼熱の伝記絵巻だ。お題に対してここまで想像力を広げられたお話も珍しい。