概要
深夜、コインランドリーからぼくは旅に出た。りおとえみちゃんの車に乗って
駐車スペースに灰色のワゴンが停まっていた。ここは住宅街の真ん中で、スペースは用意されているものの洗濯に車で来る人間なんてまずいない。珍しかった。通りすがりに中を覗くと男の子がマンガを読んでいる。目が合った。真夜中のコインランドリー。その駐車場。他には誰もいない。客はもちろん店の前を通る人さえいなかった。車の存在が気になりながらもぼくは持ってきた汚れ物を袋から出して洗濯機にかける。コインを入れてスタートさせると待つ間に読もうと店内に置いてある雑誌を漁る。漁っていると声がした。
「ねえあなた」
誰かが呼んでいる。
──大学生のぼくと、えみちゃんとりおの話。
「ねえあなた」
誰かが呼んでいる。
──大学生のぼくと、えみちゃんとりおの話。