第32話 暗殺未遂の事後処理

 今後の憂いを無くして置くため、国王の妹シバは、徹底的に潰してやります。

 小説的には、敵をダラダラ見逃した方が、はらはらする面白い展開になる?何でそこで気を抜く!!留目を刺せよ!!!と叫びたくなる、そんな安直なのが多いですね。

 小説で無く、我が身になって考えると、面白さは全く必要無い!不要です。


 それより、怖かったよぉ!!!

 もし、エレナが居なかったら、スクルド神殿の神官長、生真面目な性格で、念の為防御魔法を張ってくれてたが、もし安心して旅を楽しんでいたら。

 私は確実に暗殺されていたでしょう。

 死んでも、現実に弾き出されるだけ?

 今私が死んで、ミネルバロードに入れなくなったら、チャラ男は弾き出され、この世界は凍結されるはず。

 サラさんや、ジュリ達、獣人達に助けた美女達、私を大切に思ってくれてる人達はどうなる?

 動かなくなった世界は無いのとかわらない。

 考えただけで、恐怖で狂いそう。



 子供達が居なかったのは、幸いでした。

 荷車に、暗殺者の遺体を乗せ、砦に帰還。

 皆に事情を話して、見張りを強化するよう指示し、親方には砦に残って、寸法など二段ベッドの構想を練ってもらう。

 面識のある、ミューとパイに接待をまかせました。


 エリスと湖に向かいます。


 湖の建設現場には、想像通りお父様が、陣頭指揮を行って居ました。

「お父様!!」「おっ!ミアちゃん、来てくれたのか!!」

「どうだ!!城の土台は出来上がった、明日には順次立ち上げて行く」

「お父様、内密な話の出来る場所は有りますか?」

「こっちの飯場の二階へ行こう」



「と、言う訳で命は助かりました」

「あ、暗殺されそうになっただと!!!」

「荷台に実行犯の死体が有ります、検分をお願いします」

「実行犯じゃと?」

「暗殺には、其を指示した者が居ます」

「ふむ?」

「私を邪魔と思う者」

「ん?まさか」

「おそらく、そのまさか、です」

「お父様は、子を成さぬはずでした、それが突然娘を成した」

「ふむ!!」

「国王に娘さえ居なければ、自分、若しくは産んだ子が、次期女王又は国王になっていた」

「黒幕がシバと言うか?」

「シバかその母親、または二人が黒幕」

「信じたく無い」

「浪費しかしない、王族のお荷物でも、妹は可愛いですか」

「じゃが、ミアちゃんの推測に過ぎん話ではある、証拠が無い」

「その証拠が荷台に」

(めんどくせぇ!!領地の政策は凄い人なのに、家族にはアマアマ何も見えて無い)



 検分中です。

「この男は、暗部専門の儂の衛兵長」

「勿論儂もエリザベスも、暗殺の指示なんて出して無いぞ!!」

「他に、この男に指示を出せるのは?」

「義母は権限が無い、シバだけだ」

「決定ですね!」

「ああっ、·····どうすれば良い?」

「国益に害をなす行為、国家反逆罪ですよ」

「ふむっ」

「罪から言うと、処刑ですね」

「それは·····」

「シバの側近を私に鑑定させて下さい」

「どう言う事か?」

「お父様に紹介された時、感じたのは浪費を除けば、無害に思えました」

「ミアちゃん、あの僅の間に見抜いて居ったか!!」

「側近の誰かが、唆したと思います」

「ミアちゃんは、儂が見込んだだけは有る、只者では無かった、本当に12歳なのか?」

「ミネルバの王族は、特別なのよ!!」

「そうであろうな、コヤマ-ミネルバ王は超人のようだし、ミアちゃんも聞く所、LV46だそうだな?」

「エリザベスも褒めていた、非常に合理的な戦闘訓練、ロバでさえ巧みに操りLV上げをさせるって」


「·····シバ達の処罰は、被害者のミアちゃんに一任するが、命だけは取らないでやってくれぬか?」


「前向きに検討します」

 やっと言質取りました。


 砦に引き返し、ミューとパイにも護衛を頼み、4人で王都に向かいます。

「親方御免バタついて!!ユックリしてて」

「美女に接待されて、良い気分だ!!気にせず、行ってこい」

 ロバンナは頼もしい、半日掛からず、王都に到着。


 このまま、城に殴り込み掛ければ楽なんだけど、もう一仕事やって置かないと。


「エリス、スクルド聖教の神殿に、影響力持ってる?」

「勿論、スクルド神殿が大元ですから、私は、そこの神官長、NO2ですよ、スクルド聖教は全員私の配下みたいなもの」

「うん、上手く行きそう、スクルド聖教に行って、私を暗殺しようとした、シバとその母親を神殿に修業幽閉させるよ、王族の籍を剥奪してね」

「浪費しか出来ない、ばか親娘が聖人に成る位徹底的に修業させるよう指示して来て!!」

「分かった!指示して来るね!!」


「次は衛兵詰所、ここね」

「衛兵さん今日は、衛兵隊長にスクルド王女が来たと、伝えて!!」

「へっ?!!王女様!!少々お待ち下さい!!!」

 衛兵は飛んで行き、待つ事も無く、隊長を連れて来てくれました。


「隊長さん、実は私暗殺されかけたの」

「あ、暗殺ぅ!!お、お怪我は?」

「返り討ちにして、国王様に検分して貰った所、王家専用暗部実行集団の隊長でした」

「あっ、あの暗殺者集団の隊長!!!」

「ミア王女様良くもご無事で!!!」

「暗殺者に指示したのが、シバ王妹と分かりました」

「これから、シバとその母親を逮捕に向かいます、衛兵隊には護衛を命じます」

「はい!王女様、護衛任務、承りました!!!」


 ここまで、自信があるのは、LV45で鑑定の精度が上がったからです、真実を見抜く鑑定です。15、30、45と鑑定の精度が上がって来ました。


 城に入ります。

 なったばかりの王女ですが、私の邪魔をする者は一人として居りません。

 エリスが合流して来ました。

 ミューとパイで、充分護衛役足りてるけど、回復が出来るエリスが入れば、鬼に金棒だよ!!!

「ミア王女様、国王様と、親子申請に来られた時、お会いしましたが、改めてご挨拶させて頂きます、私はスクルド聖教の神殿長スカラと申します、エリス様の要請でお邪魔しました」

「今回の件、宜しくお願いします、スカラ神殿長」

「エリス様から、事情は確りお聞きして居ります、お任せ下さい!!」

「まさか城の中で、暗殺仕向けて来るとは思えませんが、エリス防御を!!」

「既にシールド実行中です」

「頼もしい、ミュー、パイも警護頼むよ」


 お母様がやって来ました。

 お母様は、お城の中では、流石に優雅です。

「ミアさん、暗殺されそうになったとか、聞き及んで居ります、怪我は無かったですか?」

「はいお母様、毒矢を射掛けられたので、怪我をしたら、死んで居りました」

「なっ!!そんな、危険な目にあったのですか!!!」

「早馬で、王から事情は聞きました、ミアさん同行します!!」


「ミア王女様、ここが、シバ王妹とその母親の部屋です」

 役職の無い二人は、王国に貢献していない、王族と言うだけの者達。

 一応シバは王女ではあるし、その母親は先王の皇后ではある。

 尊敬されて居れば、称号を付けた呼び名をされるはずの王族のはず。


 ノックは無しで、部屋に押し入る。


「何者です!!狼藉者!!!」

「ミア王女の名に置いて、シバとその母親を王族から除籍する!!!」

「衛兵!!二人を捕らえなさい!!!」

「待て、小娘!!!何をしようとしておる、謀反者め!!!」

「そう言う貴様は、王女に向かって、不敬であろう!!!」

「鑑定!!·····成る程、お前が二人を唆せ私を暗殺するよう仕向けたのか、次席侍従のワルダ!!!」

「いかにも次席侍従のワルダじゃ!!小娘、お前ごときが王族を名乗るな!!!」

「南スクルド王国統治者、国王様から全件を頂いて居る、ミア-スクルド王女」

「国王様から、全権?」

「ワルダ、ミア-スクルド王女になる前は、ミア-ミネルバ王女でした」

「ミ、ミネルバ王女?」

「ワルダ!暗殺未遂首謀者、それに不敬罪で処刑する」

 騎士剣を一振り、ワルダの首が飛ぶ。

「ワルダ、次席侍従を首にする!!!って首から上が無いか」

「きゃーーっ」「ギャーーッ」

「下品な声を上げるな!!元王族の二人!!」

「根拠無き敵対者は、即排除する!!!」

「二人は私を暗殺する指示を出し、国益に不利益を犯した罪で王族から除籍、全ての権利を剥奪する!!!罪名は、国家反逆罪、以上引き立てなさい、行き先はスクルド聖教神殿です」


 恐怖を振払うように、不必要に残酷、非情になってしまいました。


(何か問題が起きれば、助けようと思ったけど、ミアちゃん問答無用、情け容赦の無い裁きだわ、お陰で邪魔者が居なくなって清々する·····けど、優しいだけじゃ無い、恐ろしい一面を持った娘、敵対は絶対しないよう、仲良くして行こう)

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