第31話 暗殺者

 ミネルバでの目覚めです。

 まだ夜明け前だと言うのに、見張り番の人、セーラさんが起こしに来ました。

「ミア、お城の侍従長って人が、「公務があるので王妃様をお迎えに来ました」って」

「お母様、起きて!!」

「ん?ミアちゃんお早う!」

「公務があるって侍従長さんが迎えに来てるよ」

「えぇ~っやだ!!帰りたく無い!!」

 お母様は手がかかる、侍女がやって呉れてるようで、寝乱れた服装自分で直せない、私が直します。

「セーラ、侍従長お通しして」

「失礼します、ミア王女様」

「侍従長さん、夜通し馬車を走らせたのね、大丈夫ですか?」

「慣れて居りますので、お気遣い有り難う御座います」

「お仕事とは言え、大変ですね」

「急ぎますので、王妃様を引き取らせて頂きます」

 と言って、侍従長は嫌がるお母様を、引っ張って馬車に押し込み、帰って行きました。


 もう起きるか、でも3人の子、目が覚めて私が居なかったら、可哀想·····二度寝しよう。

 ジュリを抱いちゃえ!!



「あ~~っジュリだけ、ずるい!!」って声で目が覚めました。

「よしよし」クルミとミミを抱きしめます。

 ジュリは目覚めていたけど、私が抱き締めて居たので、そのままで居たみたい。


「起きるよ」「「「はい、お姉ちゃん」」」

 むふっ!可愛いな、このまま抱いてゴロゴロしていたい。


 ヤッパ我が家は良い!!

 もう、当番が朝食作ってる、楽だね!!

 って横着決め込んじゃダメ、手伝いに行こう。

「朝御飯の手伝いに行くよ」「「「はい、お姉ちゃん」」」

 良いな!!可愛いは正義だ


「お早う」「お早うミア」

「手伝おうか?」「もう出来てるよ」

「侍従長の騒ぎで、眠れなかった?」

「侍従長が来るより、早く起きてたよ」「そうなの、ご苦労様」

「じゃ、ロバ達を見て来るね、皆行こう」

「お姉ちゃん、ロバ何頭居るの?」

「7頭よ」「そんな、沢山居るの!!」

「ロバンナ、お早う!」「ヒーホ」

「お姉ちゃんロバとお話出来るの?」

「私は無理、耳とか尻尾でお話するのよロバって」

「「「へぇ~っ」」」

「アルファって子はロバと話せるよ」

「ロバンナ!!LV30?他のロバもLV15とか20になってる」

「ロバンナって、このロバ?」

「うん、私が旅立つ時、始まりの町の人達から頂いた、大切なロバなの」


「今日は狩りはお休み、傭兵の街にご用でお出かけだけど、一緒に行く?」

「「「一緒に行く!!」」」


 朝食後、皆に指示。

「今日は、狩りはお休みして、子供達の休日になります」

「出来れば組の指導者も、子供達と一緒にいて下さい、見張り番や作業に差し支えない範囲でお願いします」


「これから私と、この子達は、傭兵の街に行きます」

「ミア、私、組を担当して無いから護衛について行くわ」

「エリス、助かる」

 年長組が6組、年少組が4組で14人指導者、エリスが残ってたのか。



「ロバンナ、傭兵の街まで、急いで!!」「ヒーホ!」

「ロバンナ?私が言ってる事分かるの?」「ブッホ!!」

 何か言葉が解ってるみたい。

 LV30のロバンナは、小型車が壊れるか、心配する位高速で走ってくれました。

 僅か1時間で、傭兵の街に到着です。


 角を曲がって、木工所に到着しました。

「親方、こんにちわ!!」

「嬢ちゃん久しぶりだな!こっちに来な、で、風呂でも壊れたか?」

「親方、お風呂は最高だよ!!」「そうか、そうか!!」

「あっ、これお酒と、砂糖差し入れだよ」

「おっ!!有り難い、酒は有り難いが、砂糖は受け取れねぇ、高価過ぎる!!」

「王都を離れた所の、ダンジョンで手に入れた物、魔物が落とすアイテムよ」

「そう、か?」

「親方に無理なお願いするから、その対価って思って受け取って!!」

「仕事の話か?」

「うん、今度今住んでる砦が、子供達の養護施設、孤児院に変わる事に成ったの」

「成ったのって?嬢ちゃん達は家が無くなるなら、この街に住めば良い、一軒家の良いのを知ってるぞ!!」

「親方、これを見て」

「ん?何々!!!こ、これは、国王様の御墨付きじゃねぇか!!!」

「出来れば、内密に、孤児院用の二段ベッドを40台、それから新居のお城のバスタブを5つと特大1つ」

「新居のお城??」「私の居城が出来るの」

「いやいや、嬢ちゃん!話が全然解らんぞ!!!··········まさか?嬢ちゃんは王族?王女様?」

「最近、ミア-スクルド王女になったの」「成ったのって?簡単になれるかっ!!!」


 親方が冷静になるのを、暫く待ちました。

 子供達荷車で退屈してるだろうな、エリスがついてるから、問題は無いでしょうが。

 親方が、何とか話に乗ってくれて、「準備をするから、ちょっと待って」って。

 時間が空いたので、ミーシャちゃんに会いに行きました。


 ミーシャちゃんは、ジュリ達と年が一緒、直ぐに仲良くなって、一緒に遊んで居ます。

 私も、一緒に遊んでって誘われたけど、お母さんと大切なお話があるのって、納得してもらいました。

「久しぶりねミアさん」

「ミラさん、重大報告があるんだよ」

「その前にお土産の砂糖」「高価な砂糖、こんなに貰って良いの?」

「魔物が落とすアイテムだから遠慮しないで」

 私に起こった出来事を、順に話して、城下町が出来たら移住を考えてって、お願いしました。

「驚きの話だったけど、ミアさんなら、不思議と有りそうに思えるわ、移住は考えてみるね」


 もう少しジュリ達は遊ばせてあげようと思い、木工所にエリスと向かいました。


「有り難う親方!!」

 一泊の予定で、親方に孤児院と居城を見てもらう事になり、今砦に帰っています。

 ミーシャがジュリ達を離さないので、2日ミラさんに預かってもらう事になりました。


「って事は、この傭兵の街は嬢ちゃんの領地、なのか?」

「居城の湖を中心に、スクルド神殿孤児院と5つの村を取り込む城下町を考えてるの、そこから南、全てが私の領地よ」

「嬢ちゃんなんて、気楽に呼べねぇな、王女様」

「やめてよ親方、お父様、国王の前ならともかく、普通に嬢ちゃんで良いよ」

「·····そうか、国王様がお父様だよな」

「何?当たり前の事言ってるの?」

「いや、な、国王様をお父様って呼ぶのは、国王様の娘って事じゃねぇか!!!」

「うん、王女だからね」

「考えたら、震えて来たぞ!!!」


 砦が見えて来たころ、私に向けて矢が飛んで来ました。

 エリスが居てくれて、念の為と防御魔法を使ってくれてた事、偶然が重なって命を失う事を免れました。

 矢は防御魔法に弾き返されました。

「エリス!!暗殺者に襲われた!!」

「ミア、矢は何処から飛んで来た?」

「あそこの木の上、あいつが暗殺者よ」

 エリスは暗殺者を風で吹き飛ばました。

 捕らえようと、駆け付けたが、黒いフードコートの男は、首が変な方に曲がって死んで居ました。

 当然正体が判明する持ち物は一切無く、毒矢から、暗殺者と推測されるだけです。


 突然王女が現れて、邪魔に思う人必ず居ると、覚悟してたけど、行動が素早い!!

 しかも、毒矢で秘かに暗殺しようとは、黒幕はおそらく国王の妹でしょう。

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