第22話 スクルド王都

 このまま東に、徒歩で3日か4日、馬車(ロバだけど)なら2日で、スクルド王都に着くはず、そこから北に1日か2日の、山裾にあると言うダンジョンに向かって居ます。


 先ずは、スクルド王都です。

 村を3つ素通りした所で夕方になりました。

 昼食は、短時間の休憩を取った時、サンドイッチを軽く食べて、済ませました。

 せめて夕食は確り取ろうと思い、希望を聞くと、全員がカレーを食べたいそう。

 ミューにパン焼き、チャラ以外の全員に、野菜と肉の煮付けを頼み、私はカレー粉の仕込みを始めます。

「チャラ!!ボーッと見てないで、ロバンナにお塩と水をあげて」

「おう!!分かった」


 アイテム収納が出来るので、大量に小麦粉とカレー粉を煎って置きました。

 野菜も良い感じの煮加減です。

 カレー粉を、ユックリ入れながら、かき混ぜます。

 残りの大量のカレー粉は、パンを焼き終わった、ミューに収納してもらいました。


「よっし!確り食べて元気を取り戻そう!!頂きま~す」

 パイは、体格の良いオメガより、沢山食べて居ます。



 夜間の見張りは、ミュー達4人が交代でやってくれるそう、アバターのこの身体、睡眠が必要かと疑問ですが、眠い!!

 遠慮するエリスに、「初めての旅で疲れてるでしょ、獣人達の好意に甘えたら良いよ」と言って休んで貰いました。

 こちらも遠慮無く、チャラと一緒に、休ませてもらいます。


 スッキリとした目覚めです。

 チャラはまだ眠ってる。

 現実には帰って居ない。

 最後の見張り番は、オメガがやって居るようです。


「オメガお早う、見張り番ご苦労様」

「ミア、お早う!夜の間何も異常は無かったよ!!」

「このまま起きてて大丈夫?」

「おう!朝飯の手伝いするよ」

「助かる!じゃ、パン焼いて」

 昨夜カレー作り過ぎ、流石に残ってしまったので、朝食は薄めてカレースープにします。

 水は昨夜パイに用意して貰って居ます。

 塩コショウ入れて、もう少し塩かな、うん!美味しいスープの出来上がり!

「パン焼き手伝おうか?」「もう焼けたよ!」

「日ノ出までもう少しかな」「シータには気の毒だけど、皆を起こすよ!」

「オメガの前がシータだったの?」

「そうだが、やつは大丈夫、数日の徹夜も寝溜めも出来る器用なやつだから」


 皆で朝食を済ませ、明るく成りかけの街道を進みます。

 昼過ぎに王都に到着しました。

 皆に帽子を被ってもらい、王都に入ります。

 食糧は、確りあるし、買うものは無いのですが、初めてのスクルド王都、見学しないと。


 ゲームでは、普通に通行出来たのに、門番に止められました。

「王都にどのような要件で来た?」

「王都から、北に2日程の所にあると聞く、ダンジョンに行く途中、乏しくなった食糧の買い付けに来ました」

「荷車を確認する!!」

「本当に何も無いな!食糧食い尽くして困ったであろう、通ってよし!!」

「·····この前来た時と違う、何か在りましたか?」

「見たことの無い、魔物が居たと言う報告が、多くの旅人からあって、注意をしておる」

「お前達も、北に向かうなら、出会うかも知れん、魔物に出会ったら逃げろ!!」

「有り難う御座います、そうします、では通ります」



「ダンジョンから涌き出た、スライムやゴブリンでしょう」

「あっそうか!獣耳ダンジョンから出たのか!」

「スライムは塩にコショウを、ゴブリンは味噌、醤油をアイテムとして残します」

「ゴブリンの味噌は、ちょっとイヤだね」

「別にゴブリンの脳ミソって訳じゃ無いよ」

「わっわ!!!言うな!!げぇ~想像しっちゃったよぅ」


 スクルド王都は、確かに大きくて立派な都市ですが、傭兵の街の方が賑わって居たように思われます。

 魔物騒ぎで、訪れる旅人が激減したそうで、私達は、何処に行っても歓迎されました。

 愛想良く迎えられると、お金もふんだんに有る事、つい買い込んでしまうのよね!!

 ムダかとも思うけれど、5人用のテント、5個買っちゃいました。

 確り買い物すると、更に対応が良くなって、更に買い込む。

 もう荷馬車に入りきらない、大量の食糧。

 テーブルや腰掛けは、コッソリ収納してもらってました。


 宿屋に泊まって、獣人達が、トラブルに巻き込まれたら可哀想なので、北に向け出発しました。

 全員歩きです。

 私もロバンナを引いての歩きです。

 門番に荷馬車を確認され「こりゃ又、凄い買い込みしたもんだ!!!」と、呆れられました。

「嬢ちゃん達、気をつけて!!もし魔物に出会ったら逃げるんだぞ!!!」

「有り難う、門番さん」


 暫く進み、王都が見えなくなってから、荷馬車にギッシリ詰め込まれた食糧を、皆に収納してもらいました。

 さて、又荷馬車に乗れる、皆に乗車して貰い、順調に進みます。


 前方が騒がしい「全員戦闘体制!!」

 少し進むと、冒険者と思われる一団が魔物と戦って居る様子。

 皆は荷馬車を守るように、ぐるり取り囲んで進んで居ます。


「おじさん、助け要ります?」

「斬っても再生する、この魔物どうにか出来るのか?」

「パイ、エリス、火炎魔法で焼いて!!」

 言うより早く、火炎が飛んで行き、スライムが燃え上がり、消滅してゆきます。

 スライム10匹は、塩を6個コショウを4個落としました。

「アイテムは貰って行くよ!」


「嬢ちゃん、待て」「ん?」

「嬢ちゃんが、パーティのリーダーか?」

「そう、だけど」

「なら、話は早い魔法使い、一人寄越せ!!」

「おじさん、助けて貰ったお礼は?」

「俺は助けてくれとは、一言もいって無いぞ!!」

「そう?皆、行こう」

「待て!!!そこの女を一人もらう!」

「ただの礼儀知らずのおっさんなら、見逃してやったのに」

「ん?嬢ちゃん何か文句あるか?」

 6人のおっさんに取り囲まれました。


「ミア、どうしよう?」「皆は見ていて」

「嬢ちゃん、へへっどうにか·····」

「おっさん、寝言は寝て言え!!!」

 ぐだぐだ言ってたおっさんを、殴り飛ばし、と同時に隣のおっさんを、蹴り倒す。

「あと4人、ここまで舐めたまねしてくれた、報いは受けろ!!」

「強えぇ!!逃げろ!!!」

 逃げるおっさんに、石礫を連発、一瞬で4人は昏倒してる。

 アダンの実投げで、鍛えたからね!!


 オメガ達が、6人の武装解除をしてくれた。

 おっさん達の、ブーツの革ひもで、後ろ手に縛る。

「ヤッパ、ミアは怒らせると、恐えぇわ!!」

「チャラ君もあんまり、怒らせるなよ」

「俺は何時も、ミアの言いなりだぞ」


 気付いたおっさん達に。

「ミランダ警告、権利の告知·····は必要無いか」

「お前達は、助けて貰った相手に傍若無人な行いをし、返り討ちに会った、この事実は覚えて居るか?」

「覚えがねぇな!」ぼこっ!!!!「ひっ!」

「覚えて居るか?」「はい!!!」

「お前達は、傭兵奴隷販売所に売られる、文句は無いな!」

「大有りだ!!!」ボコッばかっ「い、痛てぇ!!」

「文句は無いな!」「はい!!!」

「此にて1件落着!!」「何処が!!」「文句があろうが6人は奴隷だ!!」


 荷馬車の後ろに繋いで、引きずって行くか。

「引きずら無いで!!ちゃんと歩きます」「素直が一番だよ!!」

「ミア!!」「ん?何オメガ」

「この男達、私達を騙して、傭兵奴隷に売った奴らだ!!」

「シータ、間違い無い?」

「·····」「ん?聞こえない」「間違い無い」


「傭兵奴隷販売所に連れて行くのも面倒、仇討ちする?」

「毒のナイフでチョンと傷付けたら、3日苦しんで死ぬよ」

「取り合えず、今はアイテム収納に押し込んで置くよ」

「へっ?生き物入るの?」「縛りは無いよ」

「仲間の前に取り出して、皆で処分きめるわ」

「この6人の処分はオメガに任せるよ」


「おぅ!!ほんとに、入った」

 オメガが睨むと、男達が消えていました。


 面倒なお荷物が、処分出来たので、ダンジョンに向かいます。

 夕暮れ迫る頃、山が見えて来ました。

 テント2つ張り、夜営の準備です。

 水は魔法で、いくらでも出してもらえます。

 一家に一人、是非魔法使いを!!


 夕食は、買ったばかりの新鮮野菜のサラダと、少人数ならではのバーベキューだぞ!!

 芋も焼いて、主食の代わり。

 タレは、味噌とニンニク、醤油に砂糖を煮付けて、お湯で薄める。

 バーベキュー焼き上がった所に、チョンチョン着けて行く。

「かぁ~~ったまらん匂い!!!」


 皆食べるのに夢中です、匂いに釣られたのか、魔物がチラホラ現れますが、

「食べるのに邪魔!!」と瞬殺されて居ます。

 酷いの何の、バーベキューの串で差し抜かれる、魔物が哀れです、

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