闘病という名の如く
妻、倒れる
一応「息子とわたし達家族の話」と銘打っているので、こんな話も書いておこうかな、と思います。小児ガン闘病とはどんなものなのかを語る上では、必要と思うので。
診断が確定し、治療が開始された辺りから、どうにも調子が良くなかったのは、妻でした。本当はそれ以前からだったのでしょうが、明らかに表面化したのはこの辺り。まず、食事を取れなくなり、目眩や膨満感、息苦しさを訴えました。これはまずいと思い、息子の病院に行くのは休んで、病院に掛かるように言いました。
結果、消化器内科で血液検査と点滴を受ける事に。元々血圧の低い妻は、この数日の睡眠不足、食事のリズムの無さ、早食い等の影響で、軽度の脱水症状を起こしていたそうです。点滴の針が血管に刺さりにくくなる程だった、と言っていたので、決して軽度ではないような気もしましたが……
考えてみれば、妻がそこまでの状況になることは、当然のようにも思いました。ひとりっ子である息子に対する愛情の注ぎ方は、並々ならぬ物がありました。その息子に、想像もしなかった命の危険が迫ったのです。生活リズムが崩れた事以上に、精神的に参っていたのだと思います。
兎に角、危険な物ではなかった為、少し休めば大丈夫との事でした。一先ず安心しましたが、僅かな期間、元気な人間がわたししかいない、という状況は、なかなか大変でした。闘病、と簡単に言いますが、これは息子ひとりの闘いではない、家族全員の闘いなのだ、と痛感した時でもありました。息子が命と向き合い、闘う事に何も心配することなく専念する為には、家族である我々が、まず、倒れる訳にはいかないのだ、と。
幸い、わりと頑丈に出来ているわたしは体調を崩す事はありませんでした。しかし、この体験で身に沁みたと言いますか、妻の体調も心配だったと言いますか、兎に角、わたしだけは倒れる事がないように気を付けて生活をしました。特に何もない、と思っていましたが、息子の状況を知らせると、手伝いに来てくれたわたしの母が、わたしの顔を見て、異常に窶れた、と言っていたので、結構ギリギリだったのかも知れません。
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