ニコと祐とブラッシング

 今、たすくが私の頭をわしゃわしゃと撫でている。

 ちょっと痛いけれど、普段は私にそっけないたすくが撫でてくれているということがうれしかった。

「本当はお前と仲良くするつもりはなかったんだけどな」

 聞き捨てならない言葉が耳に飛び込んできて、私は思わず顔を上げた。

 するとたすくは、困ったように笑って、

「ごめんごめん、僕の負けだよ。ニコと僕はもう仲良しだって」

 と、さっき言ったことを訂正した。

 そこでたすくは一度私から離れ、ブラッシングする道具を持ってきた。

 私はブラッシングが大好きだ。

 気持ちいいし、すっきりするし。ついでに言うと、ブラッシングをしているたすくの顔を見るのも好きだ。

 頭から足にかけて、ゆっくりとブラッシングされていく。

 幸せな時間はすぐに終わってしまう。

 でもいいんだ。きっとまたこの時間はやってくるから。

 最近聞いたのだが、「なつやすみ」というものはもうすぐ終わってしまうらしい。

 つまり、たすくが日中家にいない日々が戻ってくるということだ。

 とても寂しいけれど、大丈夫。帰ってきたたすくが、きっと私と遊んでくれるから。

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猫と人の日常 月環 時雨 @icemattya

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