第9話心療内科

緊張しながら、心療内科の扉を潜った。


院内は明るい雰囲気で、安心したのを覚えている。


臨床心理士がまず、これまでの生い立ちと、現状をヒアリングしてくれて、院長の診察になった。


とにかく、寝ても寝ても疲れが取れないのと、毎日涙が止まらない状態が続いていたので、それが改善されればという思いだった。


薬は毎食後に1種類と、就寝前に2種類処方された。


そんな職場は辞めて正解だったね。という言葉に救われた。


薬の効果は人それぞれで、直ぐに良くなる人もいれば、一ヶ月くらい時間がかかる場合もあるらしい。


結果的に、薬が効いてきたのか、睡眠が取れるようになったのが良かったのか、徐々に回復に向かってきているのだが、


何年も蓄積されてきたものがそんなに簡単に治るはずがないのだ。


最初の半年はとにかく気分の浮き沈みが激しかった。


何もしたくない日も多くて、とにかく寝ていた。


近所に買い物に行っただけで、疲労感が強く、横にならずにはいられない。


何もしない自分に対して罪悪感が強くて、泣くこともあった。


側から見れば、常にゴロゴロしている状態なわけで、家族の理解を得るのも最初は大変だった。

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