概要
一艘の船に、一人の人間が懸想していた。
今から遠いかもしれないし、近いかもしれない未来。人工知能を搭載した気象観測船『ロッカ号』は己に与えられた任務を全うすべく、『ツバメ』と呼ばれる乗組員たちと共に海を渡っていた。『ツバメ』の一員、ロッカ号の操舵を担う若者リルは、ロッカ号を深く愛し、船乗りとしての一生を捧げようとするが……。
※この作品はpixivにも投稿しているものです。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!果てなく拡がる海に溶けゆく、一人と一艘の繊細な心の触れ合い。
古くより、船乗りたちの間では船は女性に例えられています。
しかしながらその具体的な理由については未だ判明しておらず、あくまでも慣例的なものとして用いられていると考えられているそうです。
この作品においては、近未来における船と船乗りの異類婚姻譚として、その慣例が見事に物語に昇華されていると思いました。
主人公は無限に広がる海を漂う渡り鳥。そんな彼にとって共に海を渡る船は欠かすことの出来ない止り木である。一方の船にとっても、自らを動かす船乗りが居なければ自由に大海を進むことはできない。
どことなく、その関係性は互いを支え合う夫婦に似ています。なればこそ、存在の垣根を超えた精神の繋が…続きを読む