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- ★★★ Excellent!!!求めていたところに届くかどうかはまた別で
「文学性の女」というタイトルから、初めは感受性豊かなヒロインが私的情緒に溢れた作品を書きまくるか、書けなくて悩むかという展開を予想していた。
浅はかでした。
スポンジのように色んな物事を受け入れるヒガシダに、スギモトは初めに言っているのだ。
「あなたには文学性があるかもしれない」と。
どんなにバイオレンスな状況を語られても(見ても)、トキトオさんの傷を愛撫し吐息だけで絶頂に達し合おうとも、『僕』ことヒガシダは「現実を受け入れ、文学に還元することが出来る」男。
永遠の「読者」になれる男。
それが、才能や未来に失望し、でも希望を捨てきれず不安定になるスギモトや、苛烈な状況(だがそのままで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!普通に生きることの難しさ
基本的に人は孤独だし、誰かとわかりあえることはない(と僕は思っている)。だからこそ、一瞬でもわかりあえたと感じた時に、人は恋に落ち、友情を育み、その相手と一緒にいたいと強く願うのだろう。
人生とはいったいなんだろうと思う。
普通に生きることすら難しい。そもそも“普通”とはなんなんだろうか。僕の普通は誰かの特別なのかもしれない。人生はひとそれぞれ独自の形をしていて(尖っていたり、丸みをおびていたり)、それが時々触れ合って、触れ合い方によって悲劇にも喜劇にも、ときには惨劇にもなる。
普通の大学生活を送っていた主人公も、人との出会いと触れ合いの中で、突如、(読者から見れば)特別な人生に足を踏み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!苦しみから、立ち上がろうとする姿は美しい。
世の中には理不尽があふれている。
理不尽と向き合う姿をえがくことが、文学に課せられた使命ではないかと、俺は勝手に思っている。
つまり、作中の登場人物スギモトさんよろしく、この作品の文学性の有無を判断するならば、当然のことながら『有』ということになる。
文学性の有る作品が、もっとwebでも評価されればいいのにと思う。
そう、この小説はwebでもっと評価されるべき物語だ。
もう一度いうが、世の中は理不尽なことであふれている。
まったく人生はままならない。
ままならないばかりか、信じられないような不幸が降りかかることもある。
立ち向かうのか、翻弄されるのか、迎合するのか……
人には罰では…続きを読む - ★★★ Excellent!!!なんで世の中こんなにうまくいかないのか、そんなことを考えさせられる作品
なんで世の中こんなにうまくいかないんだろう――現在の最新話(29話)まで読み終えた感想です。
1話目の軽快なやり取りや素敵な文体に惹かれてどんどん読み進めていたのですが、途中から徐々にヘビーな話が出てきます。多分人によっては読むのが嫌になってしまうかもしれない内容もあります。私も一瞬読むのを躊躇いましたが、でも何故か凄く続きが気になるんですよね。
休憩を挟みつつも気付いたら続きを読んでしまっていて、読んだからこそ「ここまで読んでよかった」と清々しい気持ちになって……と思ったらまた不穏な雰囲気が出始める。
なんで世の中こんなにうまくいかないんだろうと思う一方で、これほどではないにしても世の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!野蛮で不条理で柔らかく湿った場所。
渋谷のスクランブル交差点を越えなくては行きたい店に行けない。なので信号が青になるのを待つ。人がたくさんいる。目的地に向かって速足で人々は歩いていく。「映え」る写真を撮ろうとする海外旅行客がいる。お喋りしながらだらだらと歩く人もいる。
人間はたくさんいる。
それぞれがあまりに孤立し断絶していることに驚いてしまう。
私と他者。私の知らない物語がごった返しているのが、世界だった。語ることもなく、ごろごろ物語はある。
ツイッターのタイムラインで「おすすめ小説」が流れてくる。Webでタダでこんなすごいものが読めるなんて! とかプロの書くものより可能性が、とか。で、読んでみる。センチメンタルと暴力の物…続きを読む - ★★★ Excellent!!!背中を押すように読ませる筆力
まだ途中だけど書かせてください。
面白い。
引き込まれて逃げることを許されない。
この物語には今のところ綺麗事は出てこない。話は非現実性に満ちているのに、そこに在るかというような錯覚に陥ってしまう。
目の前に、触れられない衝動的な「汚さ・気持ち悪さ」がある。
触れたらきっと「ざらり」とした手触りがするに違いない。
しかし、出てくるキャラクターを嫌いになれない。
主人公を、スギモトを、トキトオさんを、まるで隣人であるかのようにそこにいるように感じさせてくれる。
遠くで起こっていることじゃない。すぐそばにあって手の届く非現実だ。
その非現実的な物語は現実を食らいつくすかのように、読者を…続きを読む