改良結果

 あれから地元に戻り相変わらずカブの整備をしていた。ロンスイも様になり見た目はかなり出来上がった。後はエンジンだが、とりあえずは新フレームでの記録だ。

「日が昇ってきたな」

 濱崎の声がインカムから漏れる。

「ええ、そうね」

「こちらカメコ、カメラ準備完了」

「ふぅ、それじゃあ、いきましょうか」

 シールドを閉じて今までと同じように加速していく。今までとは段違いに直進安定性が増している。サスの硬さも丁度いい。

 今ならいける。アクセルを全開にして身体をカウルの中に伏せ、前を睨みつける。メーターを覗くと80から90へと向かう最中だった。しかし、まだパワーが足りない。それ以上の高みは目指せそうにない。

 アクセルを緩め、身体を起こした。

「やっぱり無理なのかな……」

 気がつけば呟いていた。

「何か言ったか?」

「……いえ、なんでも」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る