第5話あおはる

お通夜みたいな顔の入学式。

毎日ふてくされてた四月。

とりあえずゴールデンウイークを、目指す。

なんだかんだ部活で忙しい。

でもその部活すら

第一希望のそれと比べて悲しくなってしまう。

思うに、人間ってなんでも新しいことに慣れるまでは本当に本当に苦しいのだ。

きつい。

五月病という言葉通り、まだまだ高校が嫌だ、中学校に戻りたい、という。

と思ったけれど、親も我慢。

そして六月。

林間学校があった。

みんなで協力し合って農作業をした。大人たちの狙い通り、仲良しになった。

楽しくなった。

友達出来た。

部活もそれなりに。

滑り止めの高校が嫌いなんじゃない。

まだ慣れないだけ。

人間同士、まだ親しんでいないだけ。

だって16.17.18だよ。

あおはるだよ。

息子なりのホントに小さな青春が

そこに生まれ始めていた。

どんなことでも必ず慣れる。

慣れてしまえばこっちのもの。

慣れるまでは、機械的に動くしかない。

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