第10話 わんわんお襲来!
大型の銀色の毛並みの犬が森から現れた。犬種を無理に当て嵌めればシベリアンハスキーだろうか。
「ん?なんだこの犬っころ」
『これはコボルトですな。一応魔物なので気を付けて下され』
「わんっ!わんっ!」
何かを伝えようとしてるのかお座りの体勢をして吠えている。
コボルトって二足歩行する犬の魔物だっけ?あ、立った!
『主殿、どうやら着いてきて欲しいみたいでござる。何かあったのやもしれませぬ。いかがしますか?』
うーん、どうしよ。結局森の中には朝から入るんだけど何か緊急事態が起きてるのかもしれない。彼の周囲で何かあったのかもしれない。あ、良くみたらこいつメスだ。どうしようかな
「クゥーンクゥーン…」
犬っころは悲しげな声で泣く。ブルースはふんふんと話を聞いてるみたいだ。分かるのか?さすがブルース先生だな
『なるほど…!』
「なんて言ってるのか分かるのか?」
『全く分からぬでござるよ』
俺は派手に転けた。分からんのかーい!
『でも何となく分かるでござる。断片的に聞き取れたのは襲われてる。とか、助けて。と言ってる様ですな。』
なるほどな、やはり助けを求めてるのか。行けるか?いや、行けるかじゃない。
「ブルース助けてやろう。」
『ぬっ、拙者は反対でござる。夜の森は危険でござる、万一主殿に危険が及んだら』
「そん時はブルースが助けてくれるんだろ?」
『むぅ…主殿はずるいでござる…分かり申した。主殿が命令下され。拙者はそれに従うでござる』
「ありがとう。お前、案内してくれるか?」
「あうっ!」
コボルトは吠えると頭を下げた。暗くてみえなかったが脇腹を怪我してるのだろうか?血が滲んでいた。何か…あ、魔法があるか!
「ブルース、こいつ怪我してるみたいだ。先に治してやってくれ」
『
ブルースが涼やかな声で呪文を奏でる。するとコボルトの全身が強い光に包まれた。というかエクストラヒールライトって最上級の回復魔法ってブルースに教わったな。オーバーキルならぬオーバー治癒だぞ?
「ワンワンッ!くぅーんくぅーん…!」
傷が治ったのか俺の方に来て俺の顔を舐めてきた。信用を得られたのかな?それなら良かった。というか何故俺なのだろうか。普通ブルースじゃね?
「よし、それじゃ向かうか。ブルース、明かりを頼む」
『承知!眩しいので目を瞑ってて下され!《我の行く道を照らせ。ライト!》』
俺は呪文を唱え始めたブルースを見て慌てて犬っころの目を隠し自分も強く瞼を閉じた。すると暗闇を照らす強い光がふよふよと宙空を舞っている。
「流石ブルースだな。よし、行くか!」
『ええ』
「わふっ!」
俺たちは森へと踏み行った。
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