ぬるい。だから苛々する。ただそれだけのはずだった――。

 主人公は無味乾燥気味な日々を送る女子高生。彼女は教師たちから、優等生で知られていた。しかし、イジメを目撃し、突飛な行動に出たことから、苛められっこの少女に付きまとわれることとなる。主人公は、苛められっこを助けたのではなく、頭からペットボトル飲料をかけたのだ。そして、イジメグループに言う。

 ――ぬるく苛めていないで、これくらい分かりやすくやればいいのに。

 このことで、イジメグループから目を付けられた主人公は、学校の帰りにカツアゲに遭う。しかし、何故かそこに苛められっこの少女が押しかけて来て、お金を払ってしまう。どうやら、少女は主人公をヒーローと勘違いしたらしい。自分を助けるために、派手な行動をしてくれたのだと。主人公と少女の交流。それは一方的な付きまといをする少女と、どこまでも突き放す主人公という構図。その二人の関係は、徐々に近づいているはずだった。しかし――。

 作者様特有の空気感と、細やかながら的確な比喩表現に、圧倒されます。

 是非、ご一読ください。