第27話 あおたん

 こんばんは。

 突然ですが、ご自分の足を見て下さい。

 青タン、ありますか。青あざ、とも言いますね。

 平仮名で「あおたん」と書くと、まあ、なんて可愛らしい。でも、実物は可愛らしくないですよね。


 私、かなりの数の青タンがそこかしこにあるんです。腕も足も、おかまいなく。

 別に喧嘩に明け暮れている訳ではありませんよ。ホントに。


 この前、左足に大きな青タンができていて、「なんじゃこれ」と思っていたら、それを見ていた家族がポツンと言いました。

「お昼、足をぶつけて泣くほど痛いって言ってたやんか」

 はて。

 そう言えば痛かった気がする。

「あれ程痛いって言っといて、なんで忘れられんの?恐竜ちゃう?」

 とありがたい感想をもらって、よくよく考えると、そういうことはざらにあるなあ、と思い至りました。


 そして別の日。

 友人が私の肘あたりの青タンを見つけて、「痛そう」と。

 よくぶつけんねん、と答えると、友人の不思議そうな顔が。

 その友人は足も腕もぶつけたことがないと言い切りました。なぜに、そんな人がいるのだ、と思っていると、他の人もぶつけない、と同意。


 あれ、私の方が少数派?

 これは青タンを作っている場合ではないぞ、と気が付いたわけです。


 あちこちぶつけるものだから、痛いのもすぐ忘れて、ついでに青タン作ったことも忘れてしまう特技に加え、細かい事は気にしない性格が災いして、気が付けば暴力行為の被害者並みの青タン保持者。

 これではイカン、と思ったのです。

 かと言って、どう防止するのか見当もつかない。だって、勝手に青タンできるし。


 困りました。

 今も、なんか左手の平にチマメができていて、うっすら青タンができているのを発見。なんだこりゃ、と思って記憶を辿ると、そう言えば仕事場のステンレスの台に手をぶつけた気がする。

 これはもう、無駄にあがかずに、流れに身を任せてなすがままに青タンを作るしかなさそうです。


 この狭い日本で窮屈な想いをしている青タン同志たち。

 大きな事故に遭わないように気を付けましょうね。




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