再開
花が舞った。
白き竜は、幾万もの花びらにその姿を変え、灰の漂う空へと散っていく。その白い花びらの中から、彼は姿を現したのだ。
銀灰の三つ編みを翻しながら、法衣を着たアッシュは青さを取り戻していく空を漂う。そのアッシュをグラインはしっかりと抱きしめていた。
「お父さん......」
鳶色の眼に涙をため、グラインは力強くアッシュを抱きしめる。そんなグラインをアッシュもまた抱きしめ返していた。
「生きてる。ちゃんと生きてるよ。ごめんね、ずっと独りぼっちにして、ごめんね」
「ううん、もういいの。ちゃんと、お父さんが側にいれば、それでいい。アッシュがいてくれれば、それでいい」
2人はしっかりと抱き合い、言葉を交わし合う。2人の体は白い花びらに包まれながら、ゆっくりと地上へと降りていくのだ。
そっとグラインが顔をあげる。涙に濡れた眼に笑みを浮かべ、グラインはそっとアッシュの両頬を包み込んでいた。
暖かなアッシュの体温が掌に伝わってくる。グラインはそっと顔を近づけ、アッシュに口づけていた。
アッシュの眼が見開かれる。彼はそっと眼を細めて、グラインの顔を引き寄せていた。
唇を寄せ合ったまま、二人の男女は灰色の大地へと降りていく。
灰に覆われていた空は、青く晴れ渡っていた。
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