声援

「なぁ、ユーリカ。勝てると思うか?」

『フミオさんは、強い~』

「それはわかってるよ」

『攻撃、避けられないかも~』

「避けてよ!」

『わかったぁ~、がんばる~』

「ほんとに頑張ってくれよ? 一撃で落ちるのだけはイヤだぞ?」

『当たっても、落ちなければ、いい~』

「……それはそうだけど、さ……」




 対戦開始。

 フミオはやはり疲労しているようで、あまり強力でもない呪文の詠唱をしている。タイトは先にタカユキに攻撃を仕掛けようと、単体攻撃呪文の詠唱。


『タイト~、右に避けるよぉ~、落ちないで~』

「わかった!」


 右に重心をずらしながら、タカユキに攻撃。タカユキ、隙を付かれて落馬。あとはフミオだけだ!


『タイト~、次も右に避けるよぉ~』

「おう!」


 再度重心をずらしながら念の為防御呪文の詠唱をするタイト。


 が……フミオの攻撃は、そんな生ぬるいものではなかった。広範囲高威力、初めてスタジアムに来たときに見た、あの魔法だった。防御呪文も馬の制御もうまくいったが、それでも落馬。フミオの500勝を阻止することはできなかった。


「フミオ! 500勝おめでとう!」


 鳴り止まぬ拍手の中、うっすらと聞こえた声があった。


「タイト! 頑張ったぞ! 俺はお前にしか賭けねえぜ!」

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