惜敗

 次の斡旋日。対戦相手はショーゴとタツヒロ。


「またショーゴか……厄介だな」


 大勢の観客の前で戦うことの不安に押し潰されそうなタイトは、更なる厄介ごとに悩まされながらスタジアムへと向かった。




「ユーリカ、しょっぱなから攻撃呪文をショーゴに向けてぶっ放す。ビビらずにじっとしててくれ」

『わかった~』

「そのあとは任せた!」

『う~ん』

「どうした?」

『まだあんまり戦ったことないから、わかんな~い』

「あ、あぁ……まぁ、頑張ろうな、ユーリカ」

『うん~』




 試合開始。またも何やらよくわからない呪文を詠唱し始めるショーゴより先に、タイトが単体相手だが強力な攻撃呪文の詠唱を始める。詠唱は間に合い、ショーゴに直撃。


 が……同じことを考えていたらしいタツヒロの魔法は、タイトに直撃していた。



「タイトやるじゃねえか! 惜しいぜ! タツヒロの詠唱が速ければお前の勝ちだ!」

「ショーゴが失格じゃねえ試合なんて珍しいな!」

「タツヒロ~~~! お前のおかげで酒が飲めるぜ~~~!」

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