憂いする者たち

カッテの処刑執行の直後、王太子は目覚めた。

未だかつてない脈拍の上昇は少し落ち着いたが心身ともに強い脱力感があった。

王太子はカッテが死んだことを受け止めていた。しかし受け止めた心は、精神的に病んでいた。

王太子(もう死にたい...カッテのいないこの世でどうして私は生きて行けようか)

王太子は監獄から硬く粗末なベットの上で泣いた。

 そんな時、一人の兵士が王太子にカッテの遺書を手渡した。

そこにはカッテが王太子の未来を案じて王と和解することを進めることが書かれていた。

王太子は読み終えると王に首を絞められ罵られたことや、母に暴言を姉に暴力をふるっていた時の父の顔を思い出した。

王太子(カッテ私はできるだろうか...しかし、父上は私を殺そうとしている)

王太子は正常な精神状態ではなかった。



神聖ローマ帝国 オーストリア大公国 宮殿


 プロシア王太子逃亡の知らせはヨーロッパに知れ渡っており、オーストリア(この時、神聖ローマ帝国領土オーストリア大公国)も例外ではなく。やがてハプスブルク帝国(ハプスブルク帝国は国名ではなく東神聖ローマ帝国の流れをくむ現在のハプスブルク家が現在のオーストリアを中心として治めた国の俗称)の母と言われるマリア・テレジアの父である神聖ローマ皇帝カール6世はプロシアの状況を知る手紙を読んでいた。

カール6世「プロイセン王太子はプロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世との関係悪化が原因でイギリスに逃亡を図ったが当日保護された。またこれによりプロセン国王は王太子を含む逃亡にかかわった者すべての処刑を求刑しているが、王太子だけは司法の点からみてもまた外交面からみても処刑は少なくともないと思われる。しかしながら、廃嫡の可能性はあるものと推測される。」

皇帝は手紙を読み終え少し疲れ気味の顔をした。

 そもそも、今回の逃亡先はイギリスでありそれは王太子がイギリスと懇意になると他国はとらえるだろう。

カール6世(王太子よなんと哀れなことか、あの暴力国王の教育が過激だとは聞いていたが逃亡するほどとは...)

皇帝は王太子が王と和解できるかなぜか気がかりでいた。それは皇帝の性格なのか王太子の将来を憂いでいるのだった。

 


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