栄光の証

 俺は中学生の頃の部活仲間たちと久しぶりに集まっていた。

 サッカーで熱い試合を繰り広げていた俺たちも、もう階段を上ることすらつらく感じ、酒が飲める立派なオジサンだ。


 大昔の出来事で盛り上がっている俺たち。

 初めてサッカーの大会で優勝したころの話になった。


 中学校でサッカー部に所属してから二年がたち、部長となった俺は初めて大会で優勝した。そして、俺は代表として全校集会で校長先生からトロフィーを受け取る。

 今までで一番緊張したかもしれない。

 何せステージの上に初めて立った瞬間だったからな。


 あの時は全校生徒からの拍手と、歓声に包まれ最高に気持ちがよかった。

 部活の顧問も大会当日並みに感動していたようだし、俺自身も大会当日並みに胸が熱くなっていた。

 本当なら大会で優勝した時にすぐにトロフィーを渡してもらいたかったところだが学校で受け取るというのが決まりのため、その全校集会で受け取ることになったのだ。


 「本当によく頑張りましたね」


 校長の一言をもらい、お互いに礼をした。


 (やばい、やばいぞ。)

 当時、ニヤニヤが止まらなかった。


 トロフィーを手にしたことの喜びからだったのだろうか。

 

 「そういえばさ、あの時ブチョーめっちゃニヤニヤしてたよなぁ」

 「そりゃぁ初めての優勝だったからな」


 やはり見ていた方も俺がニヤニヤしていたことは覚えていたようだ。

 そう考えると少し恥ずかしいが、昔のことだからもう仕方がないだろう。


 まさかこの俺が校長の鼻から伸びた一本の毛を見て笑っていたなんてことは、過去の栄光の証として、光り輝くトロフィーとともにこれからもずっと胸の奥にしまってしまおう。

 


  

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